BitteR SweeT StrawberrY
【2】~K~
その日は、やけにあったかい夜だった。
一人暮らしのマンションに帰って、喚起のために窓を開ける。
排気ガスの匂いと、もう春が近いんだなって思うあったかい風が、部屋のカーテンを揺らした。
「ふぅ・・・」
あたしは、ハンドバックとコートをソファに投げて、カーペットの上に座り込んだ。
一日の疲れがどっとくるこの瞬間、疲れと一緒に開放感も感じる。
バックの中の携帯を取って、いつものようにメールチェック。
彼からのメールはない。
友達からの遊びの誘いもない。
別に、どこかに遊びに行きたいとかも思ってないけど・・・
ちょっとだけ、寂しいな。
スーツを脱いで、Gパンをはいて、戦闘装備を解除。
冷蔵庫にチューハイがあったはずだけど・・・冷蔵庫を開けたら、入ってない。
「ああ・・・もぉ・・・買い忘れたんだ~おやじ臭いな~あたし。
仕事上がりの一杯ですか・・・買いにいってこよ・・・」
あたしは、ジャケットを掴むと、ミュールを足にひっかけて、玄関を出た。
*
マンションのエントランスを抜けて、近くのコンビニへ。
チューハイを4本とプリンを買って、レジでお金を払って、またマンションへと歩く。
この時間の住宅街だから人通りも結構あるし、女の子の一人歩きでも十分大丈夫。
と思ったのが、間違いだった・・・
目の前から、こんな時間なのにもうべろべろに酔っ払った、サラリーマンが歩いてくる。
見るからに足どりも怪しいし・・・
すれ違うのやだな・・・
あたしは、路地の端っこに寄って、早足でマンションに向かおうとした。
でも、それが甘かった。
「お!可愛いね~」と、もう漫画みたいな台詞をはいて、酔ったサラリーマンがあたしの腕を掴んだのだ。
いやだもう・・・・っ
なんでこんなのにばっかり絡まれるのかな~
毎回そうなんだ、あたしは昔から、酔っ払いとか、はげたおじさんとか、そういうのによく絡まれるんだ。
高校生の時もよく痴漢とかにあって、泣きながら家に帰ってた。
だけどあたしは、もう癖みたいに、ついつい愛想笑いをしてしまう。
「あのっ、全然可愛くないですから!あたし急いでるんで!失礼します!」
あたしは酔っ払いの手を払いのけようとする、でも、にた~っと笑った酔っ払いは、絶対にあたしを離してくれなかった。
「おねーさん、僕と一緒に飲みなおそうよ~一緒に遊ぼう」
「いえ!あの・・・その、あたし、風邪気味なんで!無理です!」
「風邪~?それはダメだね~・・・注射しないとね~えへへへ~」
「はい????」
その意味がわからなくて、きょとんとしたあたしの顔に、お酒臭い息がかかる。
「離してもらっていいですか?ほんと、急いでるんで!」
「そんなこと言わないで、付き合ってよ~」
酔っ払いは更にあたしに顔を近づけてくる。
あたしは、気持ち悪いと思いながらも、何故か動けなくなって、それこそ涙目になって後退り。
もう、ほんといやだ~!
周りを通る人は、みんな知らん顔。
誰も助けてくれない。
誰か助けてくれてもいいじゃない!
どうしよう・・・いやだ!
気持ち悪いよ!
どうやって逃げよう・・・・
本当に泣きそうになったその瞬間だった。
あたしは、何が起こったか判らなかった。
いきなり、あたしと酔っ払いの間に、壁が出来た。
よく見ると、誰かの背中だった。
アーミージャケットの背中。
背は・・・あたしよりも10cmぐらい高い。
でも、男の人の背中にしては、ちょっと華奢すぎる・・・
何が起こったか判らなくて戸惑うあたし。
そんなあたしの腕から、酔っ払いの手が離れた。
「逃げるか?」と、男の人にしては高くて女の人にしては低い声がそう囁いた。
ほんとに一瞬の出来事だった。
まるで浚われるように、あたしは、アーミージャケットのその人に、手を引かれて、全力疾走してた。
一人暮らしのマンションに帰って、喚起のために窓を開ける。
排気ガスの匂いと、もう春が近いんだなって思うあったかい風が、部屋のカーテンを揺らした。
「ふぅ・・・」
あたしは、ハンドバックとコートをソファに投げて、カーペットの上に座り込んだ。
一日の疲れがどっとくるこの瞬間、疲れと一緒に開放感も感じる。
バックの中の携帯を取って、いつものようにメールチェック。
彼からのメールはない。
友達からの遊びの誘いもない。
別に、どこかに遊びに行きたいとかも思ってないけど・・・
ちょっとだけ、寂しいな。
スーツを脱いで、Gパンをはいて、戦闘装備を解除。
冷蔵庫にチューハイがあったはずだけど・・・冷蔵庫を開けたら、入ってない。
「ああ・・・もぉ・・・買い忘れたんだ~おやじ臭いな~あたし。
仕事上がりの一杯ですか・・・買いにいってこよ・・・」
あたしは、ジャケットを掴むと、ミュールを足にひっかけて、玄関を出た。
*
マンションのエントランスを抜けて、近くのコンビニへ。
チューハイを4本とプリンを買って、レジでお金を払って、またマンションへと歩く。
この時間の住宅街だから人通りも結構あるし、女の子の一人歩きでも十分大丈夫。
と思ったのが、間違いだった・・・
目の前から、こんな時間なのにもうべろべろに酔っ払った、サラリーマンが歩いてくる。
見るからに足どりも怪しいし・・・
すれ違うのやだな・・・
あたしは、路地の端っこに寄って、早足でマンションに向かおうとした。
でも、それが甘かった。
「お!可愛いね~」と、もう漫画みたいな台詞をはいて、酔ったサラリーマンがあたしの腕を掴んだのだ。
いやだもう・・・・っ
なんでこんなのにばっかり絡まれるのかな~
毎回そうなんだ、あたしは昔から、酔っ払いとか、はげたおじさんとか、そういうのによく絡まれるんだ。
高校生の時もよく痴漢とかにあって、泣きながら家に帰ってた。
だけどあたしは、もう癖みたいに、ついつい愛想笑いをしてしまう。
「あのっ、全然可愛くないですから!あたし急いでるんで!失礼します!」
あたしは酔っ払いの手を払いのけようとする、でも、にた~っと笑った酔っ払いは、絶対にあたしを離してくれなかった。
「おねーさん、僕と一緒に飲みなおそうよ~一緒に遊ぼう」
「いえ!あの・・・その、あたし、風邪気味なんで!無理です!」
「風邪~?それはダメだね~・・・注射しないとね~えへへへ~」
「はい????」
その意味がわからなくて、きょとんとしたあたしの顔に、お酒臭い息がかかる。
「離してもらっていいですか?ほんと、急いでるんで!」
「そんなこと言わないで、付き合ってよ~」
酔っ払いは更にあたしに顔を近づけてくる。
あたしは、気持ち悪いと思いながらも、何故か動けなくなって、それこそ涙目になって後退り。
もう、ほんといやだ~!
周りを通る人は、みんな知らん顔。
誰も助けてくれない。
誰か助けてくれてもいいじゃない!
どうしよう・・・いやだ!
気持ち悪いよ!
どうやって逃げよう・・・・
本当に泣きそうになったその瞬間だった。
あたしは、何が起こったか判らなかった。
いきなり、あたしと酔っ払いの間に、壁が出来た。
よく見ると、誰かの背中だった。
アーミージャケットの背中。
背は・・・あたしよりも10cmぐらい高い。
でも、男の人の背中にしては、ちょっと華奢すぎる・・・
何が起こったか判らなくて戸惑うあたし。
そんなあたしの腕から、酔っ払いの手が離れた。
「逃げるか?」と、男の人にしては高くて女の人にしては低い声がそう囁いた。
ほんとに一瞬の出来事だった。
まるで浚われるように、あたしは、アーミージャケットのその人に、手を引かれて、全力疾走してた。