BitteR SweeT StrawberrY
息がかかってくすぐったいし、なんだかわからないけど恥ずかしいし、あたしは、顔を真っ赤にしたまま、首をすくめてしまう。
ケイは落ち着いた声でそんなあたしに言った。

「優子は可愛いな・・・」

「へ?!」

「いい歳してすれてない・・・」

「ぶっ・・・それ・・・馬鹿にしてるんですか?」

「褒めてるんだよ」

「そ、そう・・・なんですか・・・ありがとうございます・・・
あ、あの・・・具合とか、大丈夫ですか?」

「うん、平気」

「・・・よかった・・・顔色、悪かったから・・・ほんとに、心配しちゃった」

あたしがそう言うと、ケイは、ちょっとだけ腕を緩めて、じーっとあたしの顔を見つめてくる。
さらさらの前髪から覗くケイの瞳には、なんだか、眼力的なにかがあるのか、あたしは、そのまま、ケイの眼から、自分の眼を離せなくなってしまう。

どきどきする・・・っ
きっと、ケイが美人すぎるんだ・・・っ
あたしじゃなくても・・・

たとえケイが女の人だってわかってても、絶対、誰も、こうやって見つめられたら、どきどきすると思う。
ケイは何も言わないで、ただ、じっとあたしの顔を見つめたままだった。
あたしは、ハムスターみたいに丸まって、顔を赤くしたまま、そんなケイを見つめ返すばかりだった。

「あ、あの?ど、ど、どうしたの?」

「女の体ってさ、別に、男に挿れてもらわなくて、満足できる作りになってんだよな・・・」

「はい!?これとそれと何か関係あるんですか!?」

「優子は、そういうことも何もわからないんだろうな・・・」

「ちょ!どうしてそんな話しになるのか、あたしさっぱりわからないんですけど!!」

「うん・・・優子にはわからないかも・・・」

「ぶっ・・!」

ほんとに何言っちゃってんだこの人・・・
もう、あたしには理解不能・・・・!

じたばたし始めたあたしを、ケイはじっと見つめたまま、少しだけ、イタズラっぽく笑った。
ちょっと、嫌な予感を感じたけど、何故か、あたしはフリーズしてしまった。
苺を練りこんだ生クリームみたいに柔らかいケイの唇が、またしても、あたしの唇を塞ぐ。
大輔とは全然違う、柔らかい唇。
また、あたしの頭の中は真っ白になってしまう。
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