BitteR SweeT StrawberrY
女の子の舌はストロベリー味・・・・
別に、ほんとにそんな味がするとかじゃないけど、ちょっとだけ、その意味がわかった気がした。

少しだけ、その味を確かめてみたくて、恥ずかしいけど、あたしは、ケイの舌先を自分の舌で触ってみた。
その瞬間、ケイは、片手であたしの顎を摘まんで、また、その柔らかくて甘い舌で、あたしの舌を絡めとってしまう。
甘くて気持ちの良いキス。
なんだか、変な気分になってくる。
もうちょっと、味わってみたくなって・・・

唇が離れたとき、ケイは、どこかおかしそうにあたしにこう言う。

「やる気になればできるじゃん」

「!?」

その瞬間、あたしは、ハッと我に返る。

「あ・・・あれ???いえ、その・・・っ」

馬鹿じゃないのあたし!?
なにやってんのあたし!?
からかわれてるだけじゃない!?
しかも、ケイは女の人だよ!!

あたしは、もう、なんてことしてしまったのかと、恥ずかしくて恥ずかしくて、もうケイの顔を見ていられなくなってしまった。

「もぉぉぉ!あたし・・・いやぁ!もぉぉぉ!ほんとごめんなさい・・・!」

「なんで謝るの?」

「いえ、だって!その!それは・・あれで・・・っ!もう、ほんとに・・・っ」

あたしの中の葛藤に気付いているのかいないのか、ケイは、くすくすとおかしそうに笑った。

「変な反応だな」

「だって!だって!!そんな!あたし、今まで!こんな・・・っ」

「こんなことしたことない・・・とかではないだろ?」

「いや、そうですけど!まさか・・・だって、ケイさん、お、女の人・・・っ」

「女が女とキスしたらいけないって、誰が決めたの?そんな法律ないだろ?」

「え・・・っ!あ、まぁ・・そんな法律は・・・確かにない・・ですね」

「うん、ないよな。優子の中で、女とキスなんてとんでもない、って思ってるだけの話で、実際試してみれば、結構大したことないんだよ」

「大したこと・・・ない!?え・・・あ、うん、確かにケイさんにしてみたら・・・大したことないのかもしれない・・・けど。あたしは・・・そういうの、慣れてない・・・から」

「常識なんてさ・・・意外と簡単にくつがえるもんだよ。優子が、ガチガチに守ってる常識も、自分でその気になれば、いつでもくつがえる・・・さっきのキスみたいにな」

あたしは、なんの反論もできなかった。
なんていうか、ケイの言う言葉は、ほんとに、あたしが心に作った鎧みたいなのを、驚くほど簡単に壊していってしまう。
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