BitteR SweeT StrawberrY
*
その喫茶店の一席に、大輔が姿を現したのは、それからほんとに20分ぐらいしてからだった。
キャップを深くかぶって、上下スエット姿の大輔は、以前の面影が無いようにやつれていて、無精ひげもひどくて、顔色も悪い。
スーツ姿のイメージが強い大輔。
でも、今の姿は、まるで別人のよう。
あたしは、向かいの席に座った大輔を、真っ直ぐに見つめる。
でも、大輔は、そんなあたしと目を合わせないようにして、うつむいていた。
「大ちゃん・・・」
あたしがそう呼びかけて、初めて、大輔は、ちょっとだけあたしの顔に目線を向ける。
「ごめんね・・・・俺、どうかしてたんだ・・・」
ぽつりと・・・まるで独り言のように、大輔はそう言った。
あたしは、うんって小さく頷く。
「そうだね・・・もしかすると、そうだったのかもしれないね・・・
顔色悪いね?ちゃんとご飯食べてる?」
「うん・・・一応・・・・」
「そっか・・・ご両親とか、きっと心配してると思うよ。
なんであんなことしたのか、あたしは聞かないから・・・」
「・・・・・ほんとに、ごめん・・・・」
「あたしに謝っても仕方ないよ。ずっと、一人でいたの?これまで?」
「うん・・・・その・・・」
「うん」
「結局さ・・・」
大輔は落ち着かない様子でそう切り出して、あたしの顔を見ないまま、こう言った。
「結局・・・いいように使われたっていうか・・・
いい気になってた俺が悪いっていうか・・・
こうやって、会ってくれる優子ちゃんが・・・
俺にとっては、きっと、一番だったんだなって・・・
他の女と付き合ったりして、人の金にまで手をつけて・・・
ほんと、馬鹿だったなって・・・
こうなって・・・初めて・・・気付いたんだ」
「うん・・・・後悔、してるの?」
「後悔・・・してる・・・すごく・・・
リコもハルミも・・・あれ欲しいとかこれ欲しいとか、なんかそればっかだったけど・・・
そういえば、優子ちゃんは、俺に、あれ買ってとかこれ買ってとか、言わなかったなって・・・
他の女におだてられて、なんかいい気になって・・・借金増えて・・・・
それでも、付き合うの止めれなくて・・・
ほんとに、馬鹿だったんだ・・・
きっと、俺、何か勘違いしてたんだと思う・・・」
掠れた声でそう言って、大輔は、テーブルの上でこぶしを握り締めて、ますますうつむくと、ぷるぷると広い肩を震わせていた。
「うん・・・・そっか・・・・」
あたしがそうやって頷くと、大輔は、震える声で言葉を続けた。
「今、なんか苦しくて・・・・罪悪感ていうか・・・・
なんてことしたんだろうっていうか・・・
友達にも、親にも、会社の連中にも、顔向けなんかできなくて・・・
警察に・・・いつ、見つかるかって・・・・それも、怖くて・・・」
「うん・・・・」
「たまらなくなって、夜も眠れなくなって・・・
誰にも、頼れないし・・・
ほんとに、馬鹿だったって・・・」
「うん・・・反省、してるんだね?」
「してる・・・後悔も・・・してる・・・」
「そっか・・・・確かに、大ちゃんのしたことは、良い事ではなかったよね。
でも、人間って、きっと、色んなこと勘違いして、間違え起こしたりもすると思うんだ。
だからこそ、何か間違えを起こしたら、そこは謝るとこだと思うし、ケジメもつけないといけないと思うんだ」
「・・・・・・・」
大輔はうつむいたまま押し黙って、じーっとあたしの言葉を聞いているみたいだった。
あたしは、勤めて冷静を装って、ゆっくり言葉を続けてみる。
その喫茶店の一席に、大輔が姿を現したのは、それからほんとに20分ぐらいしてからだった。
キャップを深くかぶって、上下スエット姿の大輔は、以前の面影が無いようにやつれていて、無精ひげもひどくて、顔色も悪い。
スーツ姿のイメージが強い大輔。
でも、今の姿は、まるで別人のよう。
あたしは、向かいの席に座った大輔を、真っ直ぐに見つめる。
でも、大輔は、そんなあたしと目を合わせないようにして、うつむいていた。
「大ちゃん・・・」
あたしがそう呼びかけて、初めて、大輔は、ちょっとだけあたしの顔に目線を向ける。
「ごめんね・・・・俺、どうかしてたんだ・・・」
ぽつりと・・・まるで独り言のように、大輔はそう言った。
あたしは、うんって小さく頷く。
「そうだね・・・もしかすると、そうだったのかもしれないね・・・
顔色悪いね?ちゃんとご飯食べてる?」
「うん・・・一応・・・・」
「そっか・・・ご両親とか、きっと心配してると思うよ。
なんであんなことしたのか、あたしは聞かないから・・・」
「・・・・・ほんとに、ごめん・・・・」
「あたしに謝っても仕方ないよ。ずっと、一人でいたの?これまで?」
「うん・・・・その・・・」
「うん」
「結局さ・・・」
大輔は落ち着かない様子でそう切り出して、あたしの顔を見ないまま、こう言った。
「結局・・・いいように使われたっていうか・・・
いい気になってた俺が悪いっていうか・・・
こうやって、会ってくれる優子ちゃんが・・・
俺にとっては、きっと、一番だったんだなって・・・
他の女と付き合ったりして、人の金にまで手をつけて・・・
ほんと、馬鹿だったなって・・・
こうなって・・・初めて・・・気付いたんだ」
「うん・・・・後悔、してるの?」
「後悔・・・してる・・・すごく・・・
リコもハルミも・・・あれ欲しいとかこれ欲しいとか、なんかそればっかだったけど・・・
そういえば、優子ちゃんは、俺に、あれ買ってとかこれ買ってとか、言わなかったなって・・・
他の女におだてられて、なんかいい気になって・・・借金増えて・・・・
それでも、付き合うの止めれなくて・・・
ほんとに、馬鹿だったんだ・・・
きっと、俺、何か勘違いしてたんだと思う・・・」
掠れた声でそう言って、大輔は、テーブルの上でこぶしを握り締めて、ますますうつむくと、ぷるぷると広い肩を震わせていた。
「うん・・・・そっか・・・・」
あたしがそうやって頷くと、大輔は、震える声で言葉を続けた。
「今、なんか苦しくて・・・・罪悪感ていうか・・・・
なんてことしたんだろうっていうか・・・
友達にも、親にも、会社の連中にも、顔向けなんかできなくて・・・
警察に・・・いつ、見つかるかって・・・・それも、怖くて・・・」
「うん・・・・」
「たまらなくなって、夜も眠れなくなって・・・
誰にも、頼れないし・・・
ほんとに、馬鹿だったって・・・」
「うん・・・反省、してるんだね?」
「してる・・・後悔も・・・してる・・・」
「そっか・・・・確かに、大ちゃんのしたことは、良い事ではなかったよね。
でも、人間って、きっと、色んなこと勘違いして、間違え起こしたりもすると思うんだ。
だからこそ、何か間違えを起こしたら、そこは謝るとこだと思うし、ケジメもつけないといけないと思うんだ」
「・・・・・・・」
大輔はうつむいたまま押し黙って、じーっとあたしの言葉を聞いているみたいだった。
あたしは、勤めて冷静を装って、ゆっくり言葉を続けてみる。