BitteR SweeT StrawberrY
「そんなにやつれて・・・びっくりしたよ・・・
ほんとに、辛かったんだね・・・それだけ後悔してるってことだよね?」
「・・・・うん」
「毎日・・・どんな生活してたの?」
「・・・・ネカフェとか・・・点々としてたよ・・・」
「びくびくしてたんでしょ?そんな生活、もう嫌になったから、こうやって、あたしに連絡してきたんだよね?」
「・・・・・」
大輔は、押し黙って、静かに頷く。
そんな大輔を見つめたまま、あたしも一緒に頷いた。
「気持ちも追い詰められてさ、お金もなくなって・・・そんな生活、いやだよね・・・」
「・・・・俺」
「うん・・・」
「優子ちゃんに、甘えてたんだと思う・・・優子ちゃんが、なんでも判ってくれる気がしてたから・・・
こんな状況になって、こんなこというのもなんだけど、浮気っていうか・・・
そういうのしてて、ほんとに、申し訳なかったって・・・・
いま、ほんとに、そう思ってる。
なんか、今更・・・ものすごく今更なのはわかってるけど・・・
これは言っておかないとと、思って・・・」
「うん、そっか。でも、それはいいよ、もう・・・」
「ごめん・・・本当にごめん・・・」
「うん・・・そう思ってくれただけで、あたしはもういいよ・・・」
「ごめん・・・」
「うん・・・大ちゃん・・・」
「うん・・・」
「もう楽になろう・・・このまま、逃げてても、追い詰められて、もっと、辛い思いするだけだよ・・・」
「・・・・・・」
「一緒に、行ってあげるから・・・警察・・・いこう・・・・」
「・・・・・・・・・」
大輔は押し黙って、フリーズしたように、身動き一つしなかった。
あたしは、そんな大輔を、ただ、じーっと見つめる。
しばらくの間、デパートの喧騒と、お店のBGMだけが、あたしと大輔の間に響くだけだった。
あたしは手を伸ばして、テーブルの上に置きっぱなしなっていた、大輔の右をぎゅうって握る。
大輔の太い指先が、小刻みに震えているのがわかる。
きっと、怖いんだろうと思う。
大輔は本当に、自分のしたことの重大さを、わかってるんだなって、あたしはそう確信していた。
今、大輔に必要なのは・・・きっと、潔く罪を認める勇気なんだと思う。
そう・・・
今までのあたしに欠けていたのも、勇気だった。
結局、あたしも大輔も、勇気のない人間同士だったんだなって、そう思った。
あたしは・・・ケイに出会って、勇気というか、なんていうか、このままじゃいけないっていう、そういう意思というか、強さというかをもらったけど。
大輔は、誰からも、そういう大事なこと、もらうことができなかったんだなって・・・
浮気相手の二人からも、そして、あたしも、結局は大輔に、強さとかそういう、精神的な何かをあげることはできなかったんだと思う。
あたしと大輔は、お互いにお互いを成長させることなんてできないまま、三年も付き合っていたんだ・・・
あたしは、もう一度ぎゅうって大輔の手を握って、こう言った。
「大ちゃん・・・ごめんね。
大ちゃんが、他の人に目を向けたの、きっと、あたしにも、いけないところがあったからだと思う・・・・
付き合ってたときに、もっと、色々、話しすればよかったね・・・・
今更こんなこと言っても仕方ないけど・・・・」
大輔はぴくって肩を揺らすと、ゆっくりと、あたしの顔に目を向けた。
あたしは、唇だけで笑って見せると、言葉を続ける。
「あたしが、もっと、大ちゃんを見てればよかったんだよね・・・
もし、ちゃんと見てたら・・・大ちゃん、こんなことしなかったかもしれない・・・
あたしもどこか、斜に構えてたっていうか・・・何にも、大ちゃんに言わなかったから・・・
ごめんね・・・
だから・・・半分はあたしの責任もあるのかもね・・・」
「優子ちゃん・・・」
「大ちゃん・・・謝りに行こう。
ちゃんと謝るには、やっぱり、警察に行かないと・・・
一緒に行くから・・・・ね?」
大輔の表情が、切なそうな、悲しそうな、だけど、少しホッとしたような、そんな表情に変わった。
「ありがとう・・・・」
大輔は、今にも泣きだしそうな、震えるような声でそう言うと、うつむいたまま、小さく頷いたのだった。
ほんとに、辛かったんだね・・・それだけ後悔してるってことだよね?」
「・・・・うん」
「毎日・・・どんな生活してたの?」
「・・・・ネカフェとか・・・点々としてたよ・・・」
「びくびくしてたんでしょ?そんな生活、もう嫌になったから、こうやって、あたしに連絡してきたんだよね?」
「・・・・・」
大輔は、押し黙って、静かに頷く。
そんな大輔を見つめたまま、あたしも一緒に頷いた。
「気持ちも追い詰められてさ、お金もなくなって・・・そんな生活、いやだよね・・・」
「・・・・俺」
「うん・・・」
「優子ちゃんに、甘えてたんだと思う・・・優子ちゃんが、なんでも判ってくれる気がしてたから・・・
こんな状況になって、こんなこというのもなんだけど、浮気っていうか・・・
そういうのしてて、ほんとに、申し訳なかったって・・・・
いま、ほんとに、そう思ってる。
なんか、今更・・・ものすごく今更なのはわかってるけど・・・
これは言っておかないとと、思って・・・」
「うん、そっか。でも、それはいいよ、もう・・・」
「ごめん・・・本当にごめん・・・」
「うん・・・そう思ってくれただけで、あたしはもういいよ・・・」
「ごめん・・・」
「うん・・・大ちゃん・・・」
「うん・・・」
「もう楽になろう・・・このまま、逃げてても、追い詰められて、もっと、辛い思いするだけだよ・・・」
「・・・・・・」
「一緒に、行ってあげるから・・・警察・・・いこう・・・・」
「・・・・・・・・・」
大輔は押し黙って、フリーズしたように、身動き一つしなかった。
あたしは、そんな大輔を、ただ、じーっと見つめる。
しばらくの間、デパートの喧騒と、お店のBGMだけが、あたしと大輔の間に響くだけだった。
あたしは手を伸ばして、テーブルの上に置きっぱなしなっていた、大輔の右をぎゅうって握る。
大輔の太い指先が、小刻みに震えているのがわかる。
きっと、怖いんだろうと思う。
大輔は本当に、自分のしたことの重大さを、わかってるんだなって、あたしはそう確信していた。
今、大輔に必要なのは・・・きっと、潔く罪を認める勇気なんだと思う。
そう・・・
今までのあたしに欠けていたのも、勇気だった。
結局、あたしも大輔も、勇気のない人間同士だったんだなって、そう思った。
あたしは・・・ケイに出会って、勇気というか、なんていうか、このままじゃいけないっていう、そういう意思というか、強さというかをもらったけど。
大輔は、誰からも、そういう大事なこと、もらうことができなかったんだなって・・・
浮気相手の二人からも、そして、あたしも、結局は大輔に、強さとかそういう、精神的な何かをあげることはできなかったんだと思う。
あたしと大輔は、お互いにお互いを成長させることなんてできないまま、三年も付き合っていたんだ・・・
あたしは、もう一度ぎゅうって大輔の手を握って、こう言った。
「大ちゃん・・・ごめんね。
大ちゃんが、他の人に目を向けたの、きっと、あたしにも、いけないところがあったからだと思う・・・・
付き合ってたときに、もっと、色々、話しすればよかったね・・・・
今更こんなこと言っても仕方ないけど・・・・」
大輔はぴくって肩を揺らすと、ゆっくりと、あたしの顔に目を向けた。
あたしは、唇だけで笑って見せると、言葉を続ける。
「あたしが、もっと、大ちゃんを見てればよかったんだよね・・・
もし、ちゃんと見てたら・・・大ちゃん、こんなことしなかったかもしれない・・・
あたしもどこか、斜に構えてたっていうか・・・何にも、大ちゃんに言わなかったから・・・
ごめんね・・・
だから・・・半分はあたしの責任もあるのかもね・・・」
「優子ちゃん・・・」
「大ちゃん・・・謝りに行こう。
ちゃんと謝るには、やっぱり、警察に行かないと・・・
一緒に行くから・・・・ね?」
大輔の表情が、切なそうな、悲しそうな、だけど、少しホッとしたような、そんな表情に変わった。
「ありがとう・・・・」
大輔は、今にも泣きだしそうな、震えるような声でそう言うと、うつむいたまま、小さく頷いたのだった。