BitteR SweeT StrawberrY
*
大輔が逮捕されてから、二ヶ月が経った。
行方不明になっていた、大輔の会社の同僚女性も、大輔が逮捕されてから一週間後に、警察に保護されて・・・・
大輔が詐欺をしていることを知っていながら、そのお金で豪遊していたって供述したらしい。
つまり、二人そろって逮捕という形になったようだった。
その報道がされてから、あたしに対する嫌がらせは、バカみたいに少なくなっていった。
あたしに嫌がらせをする大義名分が、なくなってしまったんだから・・・それはそれで、当たり前なのかもしれない。
あたしは、ほんとに、何も悪い事はしてない。
誰に後ろ指を差されることもしてないんだから・・・
だけどあたしは、会社を辞めることにした。
別に、大輔のことで受けた嫌がらせのせいじゃない。
今の仕事に、目標というか生きがいみたいなものを、感じることができなくなっていたからだ。
その代わり、あたしは、週末のケイのお店でのバイトが楽しくて仕方なくなっていた。
だから、ケイに教えてもらったり、ケイの部屋にある本を読んだりして、一生懸命、お洋服のコーデやカラーコーデを勉強した。
真帆ちゃんや、雛乃ちゃんや、新城さんに習って、接客も勉強した。
そんなことをしているうちに、お仕事が楽しくて楽しくて仕方なくなって、あたしは、そのまま、ケイのお店で働こうって、そう思った。
会社での最後の勤務の日。
あたしは、何事もなかったかように、思い切り笑顔で、同僚たちに別れのあいさつをした。
その同僚中には、あたしに嫌がらせしていた、先輩と後輩もいた。
だけど、あたしはあえて笑って、お世話になりました!と言った。
あの二人は思い切り戸惑った様子で、あたしに会釈をした。
終ったことなんて、もうどうでもいいんだ。
今更、恨み言を言うつもりもないし、それよりなにより、明日から、ずっと、ケイのお店で、ケイと一緒に働けることが、嬉しくて仕方なかった。
「優ちゃん、ほんとに辞めちゃうんだね?」
いつものイタリアンカフェで、向かいに座る美保が、少し寂しそうな表情であたしを見ている。
あたしは、コーヒーを飲みながら、笑顔で頷いてみた。
「うん。バイト先のね、お洋服屋さんの方が楽しくなっちゃって。このまま、こっちを本職にできればなって、そ
う思ってさ」
「そっか~・・・・あれだね、半年前の優ちゃんじゃ考えられない行動だよね」
美保はそう言って、可笑しそう笑う。
それにつられて、あたしも、思わず笑ってしまった。
「そうだね、考えられなかったかもね。
でもさ・・・なんていうか、この半年で、ほんとに色々あったからさ。
それで、なんか、人生見つめ直せたっていうのかなぁ・・・」
「うんうん、そうだね、そうかもね。
村木さんもあんなことになっちゃったしね・・・色々あったよね。
でも、優ちゃん、ほんと強くなった気がする」
「そうかな?」
「うんうん、強くなった強くなった。いまの優ちゃん」
「うん?」
「なんか輝いてるよ」
美保は真面目な顔をしてそう言うと、大きく頷きながら、にっこりと笑ってくれる。
その言葉と、その笑顔が嬉しくて、あたしも、もう一度、思い切りの笑顔を作ってしまう。
「ありがとう・・・・いや、違うんだよ。
きっとね、あたしはね、中身は何にも変わってないんだよ。
まだ、びくびくもしてるしね」
「そうなの?」
「そうだよ。だって、なんていうかな、未知世界にやっと足を踏み入れた程度だからさ」
「あはは!なにそれ!大げさだな!」
「大げさじゃないよ~・・・・・でも勇気は入ったね。会社辞めるって決断には・・・
両親に話したら、すっごく怒られたけど・・・・
大ちゃんのこともあったし・・・・
ちゃんと話ししたら、判ってくれたみたいで・・・」
「うんうん、いいご両親だ!」
「そだね」
あたしは頷いて、思わず笑った。
大輔が逮捕されてから、二ヶ月が経った。
行方不明になっていた、大輔の会社の同僚女性も、大輔が逮捕されてから一週間後に、警察に保護されて・・・・
大輔が詐欺をしていることを知っていながら、そのお金で豪遊していたって供述したらしい。
つまり、二人そろって逮捕という形になったようだった。
その報道がされてから、あたしに対する嫌がらせは、バカみたいに少なくなっていった。
あたしに嫌がらせをする大義名分が、なくなってしまったんだから・・・それはそれで、当たり前なのかもしれない。
あたしは、ほんとに、何も悪い事はしてない。
誰に後ろ指を差されることもしてないんだから・・・
だけどあたしは、会社を辞めることにした。
別に、大輔のことで受けた嫌がらせのせいじゃない。
今の仕事に、目標というか生きがいみたいなものを、感じることができなくなっていたからだ。
その代わり、あたしは、週末のケイのお店でのバイトが楽しくて仕方なくなっていた。
だから、ケイに教えてもらったり、ケイの部屋にある本を読んだりして、一生懸命、お洋服のコーデやカラーコーデを勉強した。
真帆ちゃんや、雛乃ちゃんや、新城さんに習って、接客も勉強した。
そんなことをしているうちに、お仕事が楽しくて楽しくて仕方なくなって、あたしは、そのまま、ケイのお店で働こうって、そう思った。
会社での最後の勤務の日。
あたしは、何事もなかったかように、思い切り笑顔で、同僚たちに別れのあいさつをした。
その同僚中には、あたしに嫌がらせしていた、先輩と後輩もいた。
だけど、あたしはあえて笑って、お世話になりました!と言った。
あの二人は思い切り戸惑った様子で、あたしに会釈をした。
終ったことなんて、もうどうでもいいんだ。
今更、恨み言を言うつもりもないし、それよりなにより、明日から、ずっと、ケイのお店で、ケイと一緒に働けることが、嬉しくて仕方なかった。
「優ちゃん、ほんとに辞めちゃうんだね?」
いつものイタリアンカフェで、向かいに座る美保が、少し寂しそうな表情であたしを見ている。
あたしは、コーヒーを飲みながら、笑顔で頷いてみた。
「うん。バイト先のね、お洋服屋さんの方が楽しくなっちゃって。このまま、こっちを本職にできればなって、そ
う思ってさ」
「そっか~・・・・あれだね、半年前の優ちゃんじゃ考えられない行動だよね」
美保はそう言って、可笑しそう笑う。
それにつられて、あたしも、思わず笑ってしまった。
「そうだね、考えられなかったかもね。
でもさ・・・なんていうか、この半年で、ほんとに色々あったからさ。
それで、なんか、人生見つめ直せたっていうのかなぁ・・・」
「うんうん、そうだね、そうかもね。
村木さんもあんなことになっちゃったしね・・・色々あったよね。
でも、優ちゃん、ほんと強くなった気がする」
「そうかな?」
「うんうん、強くなった強くなった。いまの優ちゃん」
「うん?」
「なんか輝いてるよ」
美保は真面目な顔をしてそう言うと、大きく頷きながら、にっこりと笑ってくれる。
その言葉と、その笑顔が嬉しくて、あたしも、もう一度、思い切りの笑顔を作ってしまう。
「ありがとう・・・・いや、違うんだよ。
きっとね、あたしはね、中身は何にも変わってないんだよ。
まだ、びくびくもしてるしね」
「そうなの?」
「そうだよ。だって、なんていうかな、未知世界にやっと足を踏み入れた程度だからさ」
「あはは!なにそれ!大げさだな!」
「大げさじゃないよ~・・・・・でも勇気は入ったね。会社辞めるって決断には・・・
両親に話したら、すっごく怒られたけど・・・・
大ちゃんのこともあったし・・・・
ちゃんと話ししたら、判ってくれたみたいで・・・」
「うんうん、いいご両親だ!」
「そだね」
あたしは頷いて、思わず笑った。