BitteR SweeT StrawberrY
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気がつけば、季節は春から夏になっていた。
あたしは、あれからずっとケイの部屋に住んでいて、シフトは違うけど、毎日、同じ職場で働くことなっていた。
その日、お店は定休日で、あたしは、ケイの病院に付き添っていた。
今日は、検査の結果が出る日だった。
ガンの進行が止まっていればいいなって、あたしはそう思いながら、ケイと一緒に、お医者さんの話しを聞くことになった。
いつもは、佐野さんも一緒なんだけど、今日に限って、佐野さんは仕事上のトラブルとかで、来ることができないって言ってた。
あたしと、ケイと、佐野さんの仲良しで不思議な三角関係も以前のまま。
週に1~2度、ケイの部屋を訪ねてくる佐野さんと一緒に、あたしの作った夕飯を食べるのも、もはや三人の恒例行事となっている。
診察室に入ったあたしは、椅子に座っているケイの後ろに立ちながら、お医者さんの言葉を待っていた。
MRIの写真と、検査結果の表示された電子カルテを見ながら、お医者さんはゆっくりと、ケイに振り返る。
ケイは、いつものように、冷静な顔つきをしていた。
あたしは、内心どきどきしながら、それでも努めて冷静を装って、お医者さんの顔を見る。
お医者さんは、うんって小さく頷くと、ゆっくりと口を開いた。
「上腕部と肺のがん細胞ですが、以前の結果と比べてみて、大きさはさして変わっていませんね。まぁ、つまり、進行速度が遅いということですね。
治療の効果が出ているようです。この治療方が、田所さんに合っていたということでしょう。他の臓器への転移所見は、今のところ見受けられません。
絶対転移しないということはないので、安心はできませんが、このまま、同じ治療方でいきましょうか」
そこまで言って、お医者さんは、少しだけ嬉しそうに笑ったのだった。
ケイは、無言のまま、それでも、ちょっと安心したような表情になって、軽くお医者さんに会釈する。
あたしといえば、その場で飛び上がって喜びたい衝動を抑えすぎて、なんだか肩をぷるぷると震わせながら、必死で涙を堪えていた。
ケイの病気は治った訳じゃないけど、でも悪くなってもいない。
このまま、進行しなければ、ケイは生きていられる。
こんなに嬉しいことってないじゃない!
あたしは、お医者さんに向かってふかぶかと頭を下げて、泣くのを堪えながら笑ってみせた。
気がつけば、季節は春から夏になっていた。
あたしは、あれからずっとケイの部屋に住んでいて、シフトは違うけど、毎日、同じ職場で働くことなっていた。
その日、お店は定休日で、あたしは、ケイの病院に付き添っていた。
今日は、検査の結果が出る日だった。
ガンの進行が止まっていればいいなって、あたしはそう思いながら、ケイと一緒に、お医者さんの話しを聞くことになった。
いつもは、佐野さんも一緒なんだけど、今日に限って、佐野さんは仕事上のトラブルとかで、来ることができないって言ってた。
あたしと、ケイと、佐野さんの仲良しで不思議な三角関係も以前のまま。
週に1~2度、ケイの部屋を訪ねてくる佐野さんと一緒に、あたしの作った夕飯を食べるのも、もはや三人の恒例行事となっている。
診察室に入ったあたしは、椅子に座っているケイの後ろに立ちながら、お医者さんの言葉を待っていた。
MRIの写真と、検査結果の表示された電子カルテを見ながら、お医者さんはゆっくりと、ケイに振り返る。
ケイは、いつものように、冷静な顔つきをしていた。
あたしは、内心どきどきしながら、それでも努めて冷静を装って、お医者さんの顔を見る。
お医者さんは、うんって小さく頷くと、ゆっくりと口を開いた。
「上腕部と肺のがん細胞ですが、以前の結果と比べてみて、大きさはさして変わっていませんね。まぁ、つまり、進行速度が遅いということですね。
治療の効果が出ているようです。この治療方が、田所さんに合っていたということでしょう。他の臓器への転移所見は、今のところ見受けられません。
絶対転移しないということはないので、安心はできませんが、このまま、同じ治療方でいきましょうか」
そこまで言って、お医者さんは、少しだけ嬉しそうに笑ったのだった。
ケイは、無言のまま、それでも、ちょっと安心したような表情になって、軽くお医者さんに会釈する。
あたしといえば、その場で飛び上がって喜びたい衝動を抑えすぎて、なんだか肩をぷるぷると震わせながら、必死で涙を堪えていた。
ケイの病気は治った訳じゃないけど、でも悪くなってもいない。
このまま、進行しなければ、ケイは生きていられる。
こんなに嬉しいことってないじゃない!
あたしは、お医者さんに向かってふかぶかと頭を下げて、泣くのを堪えながら笑ってみせた。