BitteR SweeT StrawberrY
*
高田さんと佐野さんが帰って、片付け物をして、あたしがベッドに入ったのは11時半を少し回った時だった。
先にベッドにいて、本を読んでいたケイの隣にもぐりこんで、あたしは、なんとなく、じーっと、ぺージをめくるケイの細い指先を見つめてみる。
そんなあたしの視線に気付いて、ケイは、ふと本を閉じて、ゆっくりとその視線をあたしに向けたのだった。
「なんだ?どうした?おまえ、急に元気なくなったな」
ケイは唇だけで小さく笑ってそう言った。
あたしは、ちょっとだけ困って、こつんってケイの細い肩におでこをぶつけてみた。
「んー・・・・」
「なに?」
「あたし・・・・きっとまだ弱虫なんだ」
「どうした急に?」
「うーん・・・」
「もしかして、礼奈の本のこと?」
「んー・・・・基本はそこだけど・・・でもね、ちょっと違うの」
「んー?」
「あのね」
「うん」
「あたし・・・ケイのこと好きだし、そのことは全然、恥ずかしいとか・・思わないの」
「うん」
「でもね・・・例えばそれが誰かに知られた時に・・・その人がどういう反応するか、やっぱりそれは怖い・・・」
「うん。優子らしい優子だな!」
ケイはそう言って、おかしそうに笑った。
あたしは、そんなケイを上目使いに見て、思い切り困って、また、唸ってしまう。
「んー・・・そうだよね・・・そうかもね」
「でもそれってさ」
「うん」
「やっぱ考え方だと思う。誰かが誰かを好きになることって、おかしいことかな?」
「ううん。全然おかしくない」
「だろ?」
「うん」
「こいつのこと好きなんだから、それって自分の気持ちだから、周りになに言われてもしょうがないって思うか、周りを気にして、周りの視線痛いから、もうだめだって思うか、全部自分次第なんだよ」
決して嫌味な訳じゃなく、ケイはそう言って、真っ直ぐな瞳であたしの顔を見つめると、言葉を続ける。
「別にオレはね、自分のことはどう思われてもいいと思ってる。
でも、その弊害で、もし、優子や・・・ガクが嫌な思いするなら、それはそれで考える。
オレはただ、礼奈が書きたいっていうから、じゃ、書けばって言っただけ。
自分の人生は自分で責任取るしかないから、そういう覚悟もできてるし、別に、誰かに何か言われても、自分のやってきたことを後悔なんかしないから。
それでいいって思って決めてきたことだからさ。
だけどな、それで、自分の大事な人間が傷つくなら、それを強行する気はないよ。
別にこだわってないしな」
「・・・・・・・」
小さく笑ってそう言ったケイの言葉は、真実だと思う。
もし本が出ることで、あたしが傷ついたりするなら、断るってことだと思う。
あたしは、少し押し黙って、真っ直ぐなケイの瞳を見つめ返してしまった。
なんで高田さんが、ケイのことを本に書きたいかって、ふと考えてみる。
ケイの生き方はカッコイイと思う。
高田さんと佐野さんが帰って、片付け物をして、あたしがベッドに入ったのは11時半を少し回った時だった。
先にベッドにいて、本を読んでいたケイの隣にもぐりこんで、あたしは、なんとなく、じーっと、ぺージをめくるケイの細い指先を見つめてみる。
そんなあたしの視線に気付いて、ケイは、ふと本を閉じて、ゆっくりとその視線をあたしに向けたのだった。
「なんだ?どうした?おまえ、急に元気なくなったな」
ケイは唇だけで小さく笑ってそう言った。
あたしは、ちょっとだけ困って、こつんってケイの細い肩におでこをぶつけてみた。
「んー・・・・」
「なに?」
「あたし・・・・きっとまだ弱虫なんだ」
「どうした急に?」
「うーん・・・」
「もしかして、礼奈の本のこと?」
「んー・・・・基本はそこだけど・・・でもね、ちょっと違うの」
「んー?」
「あのね」
「うん」
「あたし・・・ケイのこと好きだし、そのことは全然、恥ずかしいとか・・思わないの」
「うん」
「でもね・・・例えばそれが誰かに知られた時に・・・その人がどういう反応するか、やっぱりそれは怖い・・・」
「うん。優子らしい優子だな!」
ケイはそう言って、おかしそうに笑った。
あたしは、そんなケイを上目使いに見て、思い切り困って、また、唸ってしまう。
「んー・・・そうだよね・・・そうかもね」
「でもそれってさ」
「うん」
「やっぱ考え方だと思う。誰かが誰かを好きになることって、おかしいことかな?」
「ううん。全然おかしくない」
「だろ?」
「うん」
「こいつのこと好きなんだから、それって自分の気持ちだから、周りになに言われてもしょうがないって思うか、周りを気にして、周りの視線痛いから、もうだめだって思うか、全部自分次第なんだよ」
決して嫌味な訳じゃなく、ケイはそう言って、真っ直ぐな瞳であたしの顔を見つめると、言葉を続ける。
「別にオレはね、自分のことはどう思われてもいいと思ってる。
でも、その弊害で、もし、優子や・・・ガクが嫌な思いするなら、それはそれで考える。
オレはただ、礼奈が書きたいっていうから、じゃ、書けばって言っただけ。
自分の人生は自分で責任取るしかないから、そういう覚悟もできてるし、別に、誰かに何か言われても、自分のやってきたことを後悔なんかしないから。
それでいいって思って決めてきたことだからさ。
だけどな、それで、自分の大事な人間が傷つくなら、それを強行する気はないよ。
別にこだわってないしな」
「・・・・・・・」
小さく笑ってそう言ったケイの言葉は、真実だと思う。
もし本が出ることで、あたしが傷ついたりするなら、断るってことだと思う。
あたしは、少し押し黙って、真っ直ぐなケイの瞳を見つめ返してしまった。
なんで高田さんが、ケイのことを本に書きたいかって、ふと考えてみる。
ケイの生き方はカッコイイと思う。