BitteR SweeT StrawberrY

      *
ケイが横になってから、あたしの心はなんだかざわめいていた。
意味もなく、心の隅から不安の渦が沸き起こってきて止められなくなっていた。
ケイの頭痛は、ほんとうにただの頭痛なんだろうか・・・
心がざわざわする。

とりあえず、リビングに戻ったあたしは、佐野さんに、ケイが具合悪いみたいですってメールを入れてみた。
返信はすぐに返ってきて、そこには、「今から、すぐに行く」って書いてあった。
1時間もすれば佐野さんが来る。
とりあえず、あたしは自分を落ち着かせよう。
ご飯でも作っておこうかな・・・
具合がよくなったら、ケイも食べるかもしれないし・・・
うん・・・
そうしよう・・・
あたしは、とりあえずキッチンに向かう。
何を作ろうかと思って冷蔵庫を開けると、そこには・・・大粒いちごのパック。

「ああ・・・ケイ、苺なら食べるかな・・・」

あたしは、苺のパックを取り出して、それをザルに移して軽く洗って、フルーツ皿に盛る。
それを持って、あたしは、ケイの寝室へ向かう。
ドアを開けると、ケイが、体を丸めて悶えるように両手で頭を押さえていた。
顔色はもう真っ青で、その上、冷や汗が、その額からたらたらと綺麗な頬に伝っている。
痙攣するように、細い背中が震えているのがわかる。

「ケイ!?」

苺の乗ったフルーツ皿が、あたしの手を離れ、大きな音をあげて床の上に落ちる。
あたしは、慌ててベッドに駆け寄ってぎゅうってそんなケイを抱き締めたのだった。

「どうしたの!?大丈夫!?痛いの!?大丈夫!?」

「うぅっ・・・・っ」

まるで赤ちゃんにみたいに体を丸めて、ケイは、両目を閉じている。
冷や汗も、体の震えも止まらない。
声も出せないほど、頭が痛いのかもしれない。
どうしよう・・・!
何が起こってるの!?

「大丈夫!?大丈夫!?ん・・・えと、待って!いま、救急車・・・救急車呼ぶから!!
待っててね!!!」

あたしは、涙目になってそう叫ぶと、リビングに走った。

    

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