BitteR SweeT StrawberrY
大輔は、あたしがすぐに頷くと思っていたのか、少し不安そうな顔になって、そんなあたしの顔を覗きこんでくる。
「あ・・・結婚、嫌かな?」
「そうじゃなくて!違うの・・・・っ、あの・・・・突然だったから、びっくりしちゃって!」
あたしは、精一杯の笑顔を作って、そうやって誤魔化した。
大輔は、ちょっとだけ安心した様子で、いつものように朗らかに笑う。
「あ・・・そうだよね!まぁ、出張帰ってすぐとかで、確かに、女の子にしてみたら、突然すぎてびっくりかもね」
「う、うん。あの・・・返事、ちょっと待ってもらっていいかな?びっくりしすぎて、なんて言ったらいいか、わかんなくなっちゃって」
「いいよいいよ!ほんと、びっくりが治まったら、メールでも電話でも、こうやって直接会ってでも、返事・・・ちょうだい」
「うん・・・わかった、ありがとう」
「うん」
「あ・・・でも、大輔のこと嫌いとかそういうんじゃないからね。ほんとに、戸惑ってるだけ。ほんと、びっくりしちゃって」
「わかってるよ~~~~~っ、それぐらい!
まぁ、ほんと、落ち着いてからでいいから、返事待ってるからさ」
「うん」
あたしは、もう一度大輔に笑ってみせたけど、心の中は複雑だった。
「じゃ、あたし、帰るね・・・・ありがと!」
なんだかその場を逃げ出したくなって、マンションの中へ駆け込もうとする。
そんなあたしの腕を、大輔が掴んだ。
「待って優子ちゃん」
「え?」
「せっかく、久々に会えたんだから、ね?」
「あ・・・」
大輔がこういう風に言う時は、大体・・・セックスがしたい時。
もう三年も付き合ってれば、そんなことぐらいわかってる。
だけど、あたしは・・・
「ご、ごめん・・・今・・・生理中・・・・なんか、不順気味で、困っちゃうね」
思わずそう言って、愛想笑いをしてしまった。
もちろん、生理なんて・・・嘘。
大輔はちょっとがっかりしたように肩をすくめて、「それは残念」と呟いた。
「ご、ごめんね。ほんとに・・・」
「いいよいいよ。それは仕方ない。優子ちゃんも疲れてんだね。じゃあ・・・次に会うときはぁ・・・」
「うん」
「なんか不完全燃焼だけど。俺も帰るね」
大輔は冗談ぽくそう言って、朗らかに笑った。
「うん、ほんと、ごめんね」
「いいよいいよ。じゃ、返事待ってるからね」
「うん」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
大輔は、スーツの背中をあたしに向けて、駅に向かって歩いていった。
あたしは、そんな大輔の背中を、複雑で、それでいて切ない気持ちで見送りながら、その場で立ち尽くしてしまった。
「あ・・・結婚、嫌かな?」
「そうじゃなくて!違うの・・・・っ、あの・・・・突然だったから、びっくりしちゃって!」
あたしは、精一杯の笑顔を作って、そうやって誤魔化した。
大輔は、ちょっとだけ安心した様子で、いつものように朗らかに笑う。
「あ・・・そうだよね!まぁ、出張帰ってすぐとかで、確かに、女の子にしてみたら、突然すぎてびっくりかもね」
「う、うん。あの・・・返事、ちょっと待ってもらっていいかな?びっくりしすぎて、なんて言ったらいいか、わかんなくなっちゃって」
「いいよいいよ!ほんと、びっくりが治まったら、メールでも電話でも、こうやって直接会ってでも、返事・・・ちょうだい」
「うん・・・わかった、ありがとう」
「うん」
「あ・・・でも、大輔のこと嫌いとかそういうんじゃないからね。ほんとに、戸惑ってるだけ。ほんと、びっくりしちゃって」
「わかってるよ~~~~~っ、それぐらい!
まぁ、ほんと、落ち着いてからでいいから、返事待ってるからさ」
「うん」
あたしは、もう一度大輔に笑ってみせたけど、心の中は複雑だった。
「じゃ、あたし、帰るね・・・・ありがと!」
なんだかその場を逃げ出したくなって、マンションの中へ駆け込もうとする。
そんなあたしの腕を、大輔が掴んだ。
「待って優子ちゃん」
「え?」
「せっかく、久々に会えたんだから、ね?」
「あ・・・」
大輔がこういう風に言う時は、大体・・・セックスがしたい時。
もう三年も付き合ってれば、そんなことぐらいわかってる。
だけど、あたしは・・・
「ご、ごめん・・・今・・・生理中・・・・なんか、不順気味で、困っちゃうね」
思わずそう言って、愛想笑いをしてしまった。
もちろん、生理なんて・・・嘘。
大輔はちょっとがっかりしたように肩をすくめて、「それは残念」と呟いた。
「ご、ごめんね。ほんとに・・・」
「いいよいいよ。それは仕方ない。優子ちゃんも疲れてんだね。じゃあ・・・次に会うときはぁ・・・」
「うん」
「なんか不完全燃焼だけど。俺も帰るね」
大輔は冗談ぽくそう言って、朗らかに笑った。
「うん、ほんと、ごめんね」
「いいよいいよ。じゃ、返事待ってるからね」
「うん」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
大輔は、スーツの背中をあたしに向けて、駅に向かって歩いていった。
あたしは、そんな大輔の背中を、複雑で、それでいて切ない気持ちで見送りながら、その場で立ち尽くしてしまった。