BitteR SweeT StrawberrY
*
「ケイさ~ん、スポーツドリンク買ってきたよ~」
新城さんは玄関を入ると、そんなことを言って奥の寝室へと歩いていった。
「お、お邪魔します・・・」
あたしは、なんだか変にかしこまって、そんな新城さんのあとを追いかけていく。
あの広いリビングを抜けた短い廊下の先。
ドアを開けると、間接照明だけが点いた薄暗い部屋の大きなベッドの上にケイはいた。
ケイは、うつぶせの姿勢で、綺麗な顔をピロウに埋めていた。
さらさらの前髪の下で、閉じていた瞼をゆっくりと開くと、ケイは、元気のない眼差しでベッドの傍らに立った新城さんと、そして、あたしを見る。
「ああ・・・・ありがと・・・・あれ?・・・優子?」
「さっきそこでばったり会っちゃって、連れてきちゃいました」
新城はにっこり笑って、ケイの言葉にそう答えた。
ケイは、少し青ざめた唇で、小さく笑ったみたいだった。
あたしは、なんだか無駄にどきどきしなら、新城さんの肩越しにケイを見る。
「ご、ごめんね、具合悪いのに・・・押し掛けてきちゃった・・・だ、大丈夫?」
「また謝ってるし」
ケイは、うつぶせの姿勢でくすくすと笑った、そして、ちらっと新城さんを見るとこう言った。
「マナト、冷蔵庫適当に漁って、好きなもん食っていいよ」
「あいあい~」
ケイの言葉に、新城さんはわざとらしく敬礼してみせると、慣れた様子でキッチンへと歩いていってしまう。
あたしは、なんだかどぎまぎして、挙動不審に寝室の中を見回してから、恐る恐るケイのベッドの脇に立った。
「う・・あの、大丈夫?あんまり、顔色、よくないね?」
「ああ・・・疲れるとどうしてもな・・・」
「でも、いいね・・・お店の人、こうやって心配してきてくれるんだもん。
ケイはモテるね」
あたしは、なんだかぎこちない笑いをしながら、ベッドにうつぶせるケイを見る。
ケイは、視線だけを動かしてあたしを見上げると、おかしそうにくすくすと笑った。
「優子も来たしな」
「あ、あたしは、ほんと偶然そこで新城さんに会って。こ、この間も具合悪そうだったから・・・その、ちょっと心配しちゃって」
「そうか・・・・ありがと」
「ううん」
「優子は?夕飯?」
「うん、食べたよ。外食だけど・・・ケイは?お腹すかないの?」
「ああ・・・あんまり空いてないかな」
「そっか・・・・あ、そだ」
「うん?」
「明日の朝とか・・・何か作ってきてあげようか?昼間は、さすがにお店の人もこれないでしょ?」
「優子仕事だろ?」
「仕事だけど、朝、ちょっと寄るぐらいできるよ」
「じゃあ・・・泊まっていったら?」
「え・・・っ!?」
一瞬で赤面したあたしを見つめながら、ケイは、からかうように小さく笑う。
「どうせ隣のマンションだし、忙しい時にばたばた寄るなら・・・泊まっていったほうが早くないか?ってこと」
「ぅぅ・・・っ」
あたしは、無償に恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしたままじーっとケイを見つめてしまった。
ケイは、ますます可笑しそうな顔つきで、対抗するようにじーっとあたしを見る。
「どした?ああ・・・警戒してんのかな?」
「え!?そ、そうじゃないけど・・・ぜ、全然、ち、違うけど・・・っ!
具合悪いのに・・・他人がいると、休めないかな・・・って」
「そんなこともないよ」
「そ・・・そう?うん・・・じゃぁ・・・」
大輔と一緒にいることは、拒否したくせに・・・あたしってば、なんでケイと一緒にいたいとか、思ってしまうんだろ。
もう、もう、ほんとにあたし・・・・
絶対、おかしなことになってる!
あたしは、顔を真っ赤にしたまま、無駄にもじもじして、こくんと頷いた。
「あ・・・じゃ、着替えとか持ってくるね・・・ご飯の材料とか・・・」
「シャワーはうちの使っていいよ・・・食材も、ある・・・と思う。マナトに聞いてみて」
「う、うん!わかった」
自分でおかしなことになってるのは、わかってるけど、ケイにそう言われて、なんだか変に嬉しくなって、あたしは、思わずにっこり笑ってしまう。
「ちょっと、冷蔵庫見させてもらうね」
「うん」
ケイは小さく頷くと、まだ青ざめた唇で笑った。
そんなケイの表情が、ちょっとだけ嬉しそうに見えたのは・・・あたしの、勘違いなのかな?
とりあえず、あたしは、キッチンにいる新城さんに冷蔵庫の中身を聞いてから、着替えを取りに、一度、自分の部屋へと戻ったのだ。
「ケイさ~ん、スポーツドリンク買ってきたよ~」
新城さんは玄関を入ると、そんなことを言って奥の寝室へと歩いていった。
「お、お邪魔します・・・」
あたしは、なんだか変にかしこまって、そんな新城さんのあとを追いかけていく。
あの広いリビングを抜けた短い廊下の先。
ドアを開けると、間接照明だけが点いた薄暗い部屋の大きなベッドの上にケイはいた。
ケイは、うつぶせの姿勢で、綺麗な顔をピロウに埋めていた。
さらさらの前髪の下で、閉じていた瞼をゆっくりと開くと、ケイは、元気のない眼差しでベッドの傍らに立った新城さんと、そして、あたしを見る。
「ああ・・・・ありがと・・・・あれ?・・・優子?」
「さっきそこでばったり会っちゃって、連れてきちゃいました」
新城はにっこり笑って、ケイの言葉にそう答えた。
ケイは、少し青ざめた唇で、小さく笑ったみたいだった。
あたしは、なんだか無駄にどきどきしなら、新城さんの肩越しにケイを見る。
「ご、ごめんね、具合悪いのに・・・押し掛けてきちゃった・・・だ、大丈夫?」
「また謝ってるし」
ケイは、うつぶせの姿勢でくすくすと笑った、そして、ちらっと新城さんを見るとこう言った。
「マナト、冷蔵庫適当に漁って、好きなもん食っていいよ」
「あいあい~」
ケイの言葉に、新城さんはわざとらしく敬礼してみせると、慣れた様子でキッチンへと歩いていってしまう。
あたしは、なんだかどぎまぎして、挙動不審に寝室の中を見回してから、恐る恐るケイのベッドの脇に立った。
「う・・あの、大丈夫?あんまり、顔色、よくないね?」
「ああ・・・疲れるとどうしてもな・・・」
「でも、いいね・・・お店の人、こうやって心配してきてくれるんだもん。
ケイはモテるね」
あたしは、なんだかぎこちない笑いをしながら、ベッドにうつぶせるケイを見る。
ケイは、視線だけを動かしてあたしを見上げると、おかしそうにくすくすと笑った。
「優子も来たしな」
「あ、あたしは、ほんと偶然そこで新城さんに会って。こ、この間も具合悪そうだったから・・・その、ちょっと心配しちゃって」
「そうか・・・・ありがと」
「ううん」
「優子は?夕飯?」
「うん、食べたよ。外食だけど・・・ケイは?お腹すかないの?」
「ああ・・・あんまり空いてないかな」
「そっか・・・・あ、そだ」
「うん?」
「明日の朝とか・・・何か作ってきてあげようか?昼間は、さすがにお店の人もこれないでしょ?」
「優子仕事だろ?」
「仕事だけど、朝、ちょっと寄るぐらいできるよ」
「じゃあ・・・泊まっていったら?」
「え・・・っ!?」
一瞬で赤面したあたしを見つめながら、ケイは、からかうように小さく笑う。
「どうせ隣のマンションだし、忙しい時にばたばた寄るなら・・・泊まっていったほうが早くないか?ってこと」
「ぅぅ・・・っ」
あたしは、無償に恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしたままじーっとケイを見つめてしまった。
ケイは、ますます可笑しそうな顔つきで、対抗するようにじーっとあたしを見る。
「どした?ああ・・・警戒してんのかな?」
「え!?そ、そうじゃないけど・・・ぜ、全然、ち、違うけど・・・っ!
具合悪いのに・・・他人がいると、休めないかな・・・って」
「そんなこともないよ」
「そ・・・そう?うん・・・じゃぁ・・・」
大輔と一緒にいることは、拒否したくせに・・・あたしってば、なんでケイと一緒にいたいとか、思ってしまうんだろ。
もう、もう、ほんとにあたし・・・・
絶対、おかしなことになってる!
あたしは、顔を真っ赤にしたまま、無駄にもじもじして、こくんと頷いた。
「あ・・・じゃ、着替えとか持ってくるね・・・ご飯の材料とか・・・」
「シャワーはうちの使っていいよ・・・食材も、ある・・・と思う。マナトに聞いてみて」
「う、うん!わかった」
自分でおかしなことになってるのは、わかってるけど、ケイにそう言われて、なんだか変に嬉しくなって、あたしは、思わずにっこり笑ってしまう。
「ちょっと、冷蔵庫見させてもらうね」
「うん」
ケイは小さく頷くと、まだ青ざめた唇で笑った。
そんなケイの表情が、ちょっとだけ嬉しそうに見えたのは・・・あたしの、勘違いなのかな?
とりあえず、あたしは、キッチンにいる新城さんに冷蔵庫の中身を聞いてから、着替えを取りに、一度、自分の部屋へと戻ったのだ。