BitteR SweeT StrawberrY
          *
美保と別れて家に帰ったあたしは・・・少し考えこんだあと、大輔にメールを打つことにした。
楽な部屋着に着替えてから、ハンドバックをまさぐり携帯を取りだすと、メールの着信ランプが点いてる。

「大ちゃんかな・・・?」

あたしは思わずそんなことを呟いて、携帯を開きメールを見る。
送信者名を確認して、あたしは、無駄に、どきっとしてしまう。
メールの送り主は・・・ケイだった。

あの時・・・
ケイの部屋に泊まった日の朝、アドレスを聞かれて、交換したのはいいんだけど、あたしは、なんか、恥ずかしくて、ちょっと怖くて・・・メールを打つことなんかできなった。
ここ数日の間に、何度か・・・メールを出そうとしたんだけど、どうしても送信できなくて、作ったメールをそのまま削除しちゃったり。
そんな、おかしなことばっかりしてた。

なのに・・・まさか、ケイの方から、メールくれるなんて。
あたしは、なんか、ちょっとだけ嬉しくなって、じーっとその文面を見つめてしまう。

『優子へ
明日は、10時~3時の出勤でよろしく。
ストックヤードでの仕事だから、服装はなんでもいいよ。
着たければうちの店にある服、貸してやるし。
ちなみに、オレは昼の出勤。
朝、店に行ったら、マナトに仕事の内容聞いてみて。
アクの強いスタッフもいるけど、まぁ、基本はみんな良い子だから、その辺りは安心していい。
明日、会えるの、楽しみにしてるよ』

「明日・・・会えるの・・・楽しみに・・・してる・・・」

あたしは、その文末を読んだ瞬間、意味不明に赤面してしまった。
急に心臓がどきどきと音を上げて、頭の芯がじわっと熱くなる。

別に、デートの約束とかじゃないのに・・・・!
あたしってば、明らかに・・・喜んでる!?
これは、絶対に・・・喜んでる・・・!
あぁ、もぉ!!
あたし、ほんと馬鹿じゃないの!?
浮かれてる場合じゃないのに・・・
もぉ・・・

我ながら、ほんとに、馬鹿だと思って、あたしは、赤面したまま、大きくため息をついてしまった。
本当に、こうやって、浮かれてる場合なんかじゃないんだ。
あたしは、真剣に、大輔にプロポーズされたんだから、真剣に、考えてあげないといけない義務があるんだ。
あたしは、ソファに座って、背もたれに深くもたれる。
とりあえず今は、ケイへの返信より大輔に・・・と思って、メールの新規作成画面を開いた。

『お疲れ様
まだお仕事中ですか?
あたしは、今帰ってきたばっかりです。
明日から、バイトが始まります。
慣れない仕事だから、ちょっと不安だけど、頑張ってきます。
この間の・・・返事だけど・・・
あの・・・
もう少し、待ってもらっていいかな?』

そこまで打って、あたしは、思わず手を止めた。
待ってもらう理由を・・・なんて書こうか・・・思い切り、悩んでしまった。
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