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「そうですよね~・・・・副店長さんだし、責任ありますしね・・・大変ですよね」

あたしがそう言うと、ストックヤードの電気をつけながら新城さんは笑った。

「まぁ、そりゃそうだけど。なんていうかな、楽しいよ、この仕事。
色んなお客さんに会えるしさ。まぁ、たまにはムカつく客もあるけど、このお客さんに可愛くなってほしい!かっこいくなって欲しい!って思って服選んでたりするから。
今シーズンはどんなデザインが流行るとか、どんな色が受けるとか、そういうの予測するのも面白いしさ」

「へ~!そういうの、予測できるんですか?!」

「いや、予測できないとダメっしょ!服屋なんだから!
流行りを追いかけるってより、流行りを作るっていうの?
でも、先読みに関しては、ケイさんにはかなわないよ。
社長よりセンスいいから、ケイさん」

「・・・そうなんだ?」

「すごいぞ~あの人はほんと!」

新城さんは誇らしそうにそう言って、ストックヤードの中をぐるっと見回した。
新城さん・・・ほんとにケイのこと好きなんだな、っていうか、尊敬してるんだな、きっと。
あたしは、思わず笑った。

男の人に尊敬されるような仕事をするケイって、やっぱり、すごい人なんだと思う。
あたしは、新城さんにつられるようにストックヤードの中を見回してしまう。
大きな棚に沢山並んだ段ボール箱、ハンガーにかけられた沢山の高そうなお洋服。
床の上には、小さなテーブルと椅子と納品書の束。

「うわぁ・・・ほんとに裏側って感じだ~」

「このダンボールを開けて、伝票と照らし合わせて、数とか色を確認するのが、優さんの仕事。伝票に番号書いてあるから、その番号と同じ番号が振ってある箱をまず探す!」

「ええ!?こんな一杯!?」

「そ~だよ~~っ!がんがれ~~!」

「ぅう・・・っ!が、がんがります・・・っ!」

「ほとんど春物だけど、そろそろ夏物も入ってきてるから、量は少し多いかな?」

「ええ!?もう夏物ですか!?だってまだ春にもなってませんよ!?」

「何いってんの~?先取りが命のギョーカイだよ?この時期に夏を見据えておかないとさ。
後で売り上げ落ちて後悔とかするの嫌だし!」

新城さんはそう言って笑った。
この人は、本当に、自分の仕事に誇りをもってるんだなって、あたしはちょっと羨ましくなった。
仕事にポリシーを持ってる人って、やっぱりカッコイイと思う。
美保もカッコイイし、新城さんもカッコイイ。
あたしもがんばらなきゃって、そう思って、なんだか変に気合が入ってしまった。
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