BitteR SweeT StrawberrY
新城さんは、ゆっくりとあたしに振り返って、いつものようににっこりと笑う。

「検品が終ったら、ダンボールに(済)って書いて、あっちの、検品済用棚においておいて。どれを出すかは、ケイさんが決めることだから。
出しておいてって言われたら、そっちのロッカーにあるハンガーにかけて、入り口のとこ置いていけばいいから」

「あ、はい!がんがります!!!」

「あはは!ほんと優さんは真面目だな!」

無駄に意気込むあたしを見て、新城さんはおかしそうにそうに言った。

「じゃ、俺、開店の準備しちゃうから、仕事はじめちゃっていいよ。
ダンボール開けるときには、はさみ使って。そこのテーブルにあるから。
カッターもあるけど、中の服、間違って切っちゃうこともあるから、使わないでくれると助かる。カッターは、中身空の箱を潰すときだけ使ってね」

「はい!」

「わかんないことあったら、誰かに聞いて。って先週末から冬物セールやってるから、みんな忙しくて答えられない時もあるかもだけど・・・まぁ、そんときは気にしないで。
暇になったとき誰かに聞く感じで」

「りょ、了解です!」

「疲れたら少しぐらいなら休んでいいから。さすがに、これは一日じゃ終らないだろうから。昼休憩の時は呼ぶよ」

「はーい!よろしくお願いします!」

新城さんは、軽くあたしに手をあげて、またフロアに戻っていった。
あたしは、棚に積み上がっているダンボールを見上げて、「よしっ!」と無駄に気合を入れる。
ボールペンを持って、ジーンズのポッケにはさみを入れて、伝票を手にとる。
あたしは、棚を見上げて、伝票に書かれた番号のダンボールを探した。

簡単そうに思えたけど・・・なかなか同じ番号が見つからない・・・
これは結構、手間がかかりそう・・・
うぅ・・・っ、頑張ろう・・・っ

あたしは、ダンボールが積んである棚の前をうろうろしながら、棚の上下左右を何度も探して、やっと、伝票と同じ番号の箱をみつけた。

「あ・・・あったぁ・・・!」

一個見つけるのに、間違いなく5分以上かかったと思う。
ああ、もう、こんなんでちゃんと仕事できるのかなぁ・・・
あたしは、棚の脇に置いてあった脚立を持ってきて、上の方にあるダンボールを抱えるように持った。
結構重いかも・・・

「うーんっ!」

必死でダンボールを持ち上げて、脚立から落ちないように、そーっと床の上に降りる。
ダンボールを床において、あたしは、ぽっけに入れておいたはさみを出した。
その時、ギ~っって重い音と一緒に入り口のドアが開いて、あたしは、ハッとそっちを振り返る。
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