BitteR SweeT StrawberrY
そこに立っていたのは・・・

このお店の服だろうお洒落なワンピを着て、きちんとメイクをした、とっても可憐な美人さんだった・・・

「あ・・・あれ??え?えと???」

あたしは、またしても動揺して、きょろきょろと目線を動かしながら、その子のことをじっと見つめてしまう。
え・・・
まさか・・・

「真帆・・・さん?」

「すみませぬ・・・その様にじっと見られてしまいますと・・・私、緊張して動けなくなってしまいまする・・・なので、あまり、凝視しませぬよう、お願いしまする・・・」

うつむき加減でそう言った真帆ちゃん・・・
あたしは、「うっ・・・あっ、ご、ごめんなさい!」と謝って、慌てて目線をそらした。
ものすごい変わりようで、ほんとにびっくりした。
この子、こんなに美人さんだったんだ・・・・

めがねも外して、無造作に結ってあった髪を下ろして、お化粧して、服装を変えて・・・さっきの真帆ちゃんとは大違い。
すれ違ったら、思わず振り向いてしまうぐらいの美人さんに大変身してて、ほんとに、一瞬、誰かと思った・・・

「戦闘準備も整いましたので・・・私、出陣して参りまするっ」

口調は相変わらず、なんだか痛い感じだけど、真帆ちゃんは、急にキリっとした顔つきになって、すたすたとフロアへと向かって歩いていった。

「い、行ってらっしゃい・・・っ!」

あたしはそう答えて、確かに強烈な帆真ちゃんをぽかーんと見送ったのだった。

なんか・・・
女の子の底力を見た気がする・・・・

嫌味じゃなくて、あたしはほんとに感心して、ふぅっとため息をついてしまう。
どういう経緯で、自称引きこもりニートだった真帆ちゃんがこのお店で働くことになったのかは知らないけど・・・
このお店で働いてる人たちは、きっと、みんな、ポリシーを持って働いてるんだなって、それだけはよく理解した気がする。

「あたしも・・・負けないように・・・頑張ろうっ」

あたしは、もう一度自分に気合を入れて、検品作業を再開したのだった。

< 49 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop