BitteR SweeT StrawberrY
もぉ…
重症にもほどが…

「うぅっ」

顔を真っ赤にしたまま、うつむいたあたし。ケイは、ちょっとだけ不思議そうな顔をして、そんなあたしを覗きこんできた。

「おまえ、何赤くなってんの??」

「ぅうっ…なんでもないよっ。表、忙しいんでしょ?ケイもいかないと!」

「あぁ…そうだな」

「ケイ…?」

「ん?」

「具合はもういいの?」

「あ~…多分、大丈夫…
マナトには面倒かけたから、あいつにも、まとまった休日やらないとな」

「新城さん、ほんとケイのこと好きなんだね…っていうか、ほんとに尊敬してるんだね。なんか、今朝、話してて、そう思った」

「なんだ急に?」

唐突にあたしがそんなこと言ったから、ケイは、きょとんとした表情をして、じーっとあたしの顔を見つめる。
あたしは、えへへって笑ってしまう。

「男の人に尊敬されちゃうケイは、すごいな~って思っただけだよ。自分の仕事にポリシーもってる人って、カッコイイなってさ…
あたしもそうなりたいなって…」

「優子は、今の仕事にポリシー持ってないのか?」

「う~ん…どうなのかな?
経理だから、ミスしたらいけないなっていうのはあるけど…
ポリシーって言うのとは、ちょっと違う気がする…
元々、お父さんの凄い勧めで入ったから。
なんか、今更だけど、あたしって、ほんとはどんな仕事したかったのかな?ってさ」

「優子らしい、優子なとこだな、そういうとこ」

ケイはそう言って、くすくすと笑った。

「あたし昨夜思ったんだ…大学入試とかそんなのは別にして…
あたしは今まで、目標って…人生の目標みたいなの、持ったことなかったなって。
だから、ほんと今更なんだけど、何か目標欲しいなって…」

「うん」

「それで思いついた目標が…」

「うん」

「目標を見つけること!だった…」

あたしがそう言うと、ケイは可笑しそうに、あははって笑って、急に片手を伸ばし、あたしの髪を撫でたのだった。

「はぅっ」

あたしは、亀みたいに首をすくめて、それこそ、顔が燃えるかと思うほど、真っ赤になってしまう。
ドキドキって物凄い音を上げて、あたしの心臓は、一気に鼓動を早くした。

「面白い目標だ…っ!まぁ、気合いで目標見つけることだな。
何か一つだけでいいから…」

「え?」

「一つだけでいいから、これだけは絶対に譲れないって言うの、見つければいい…」

あたしの髪を撫でながら、ケイは、今までとはちょっと違う…
どこか淋しそうな、それなのに、凄く優しい表情をして、綺麗な眼で、真っ直ぐあたしの眼を見つめたのだった。
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