BitteR SweeT StrawberrY
真帆ちゃんは照れたように、もう一度小さく笑うと、ハンバーガーを手に取りながら、話し始める。
「私・・・子供の頃から、熱狂的なヅカファンでした」
「・・・・・。」
それを聞いて、あたしは、何か納得してしまう。
ああ、このしゃべり方は・・・そこからきてるんだ・・・
真帆ちゃんは、言葉を続けた。
「それはそれは、あの世界に憧れて、私、タカラジェンヌになりたかったのですが、生憎、我が家はごく一般的な家庭でしたので、バレエを習うことも声楽を習うことも叶いませんでした。なので、せめて、気分だけでもと・・・レース&フリルのお洋服を着て、時折ごっこ遊びをして、楽しんでおりました・・・」
「ご、ごっこ????」
「ええ、タカヅカごっこにございます・・・」
「そ、そ、そうなんだ・・・・」
「はい・・・あれは高校生になった時のことでした、私、数少ない仲間とごっこしておりましたら。突然、同じのクラスの殿方に・・・『おまえら頭大丈夫か?』と言われましたの」
「え?」
「殿方だけではございません、ご婦人方にも『あたまおかしいの?』『馬鹿なの?』と、ののしられまして・・・」
「・・・そ、それは・・・」
「その次の日のことです、仲間だと思っていた方々が、急に掌を返したように、ヅカの話しもしなくなり・・・それどころか、私を、まるで居ない存在であるかのように、扱うようになったのです・・・そこからは、もう、まるで地獄のような日々にございました。
クラスのご婦人方に、ことあるごとに『きもい』『うざい』『くず』『ブス』などとののしられ、殿方からも『近寄るな』『馬鹿が移る』『死ね』など等、散々、言われ続けましたの・・・
ひどい時には、バックや靴箱の中に、ゴミとか土とか、残飯とかも入れられておりました・・・」
真帆ちゃんは、意外に淡々と、あの口調のままそんな話しをするけれど・・・・
それって、つまりイジメにあっていたってことで、本人にしてみれば、とても辛い思い出だと思う。
「・・・・・・」
自分の好きなもののせいで、自分の居場所がなくなったなんて・・・
なんて皮肉なんだろう・・・
あたしは、何も言えなくなって、ただ、じーっとうつむき加減の真帆ちゃんを見つめるだけだった。
真帆ちゃんは、淡々と言葉を続ける。
「それで私、学校にいけなくなりまして・・・そのうちに、家族以外の人々の目が怖くなりまして・・・それで、16歳の頃から22歳になった去年の夏まで、引きこもりニートをしておりましたの」
「そっか・・・大変だったね・・・」
「いいのです・・・今は、こうして外界に出ておりますので・・・
ですが、こう、お店以外で人様に見られるのは怖くて仕方ありませんので、このような姿をするのは、このお店の中だけにとどめておりますの」
「うん・・・・」
真帆ちゃんはきっと、自分が何で、お店の中でしか綺麗なカッコをしないのか、それを、あたしに伝えたいんだなって、そう思って、あたしは、こくんって頷いた。
そんなあたしをちらっと見た真帆ちゃんは、どこか嬉しそうに、また、さっきのように華やかに笑う。
その笑顔を見てたら、あたしも、つられてにっこり笑ってしまう、そして、思わずこう言った。
「真帆ちゃん、美人さんで可愛いから・・・きっと、みんな、嫉妬したんだね・・・
大変だったと思う・・・」
「・・・っ」
真帆ちゃんは、驚いたような顔をして、ぱちぱちと睫毛を揺らしながら、じーっとあたしの顔を見つめ返してくる。
「私・・・子供の頃から、熱狂的なヅカファンでした」
「・・・・・。」
それを聞いて、あたしは、何か納得してしまう。
ああ、このしゃべり方は・・・そこからきてるんだ・・・
真帆ちゃんは、言葉を続けた。
「それはそれは、あの世界に憧れて、私、タカラジェンヌになりたかったのですが、生憎、我が家はごく一般的な家庭でしたので、バレエを習うことも声楽を習うことも叶いませんでした。なので、せめて、気分だけでもと・・・レース&フリルのお洋服を着て、時折ごっこ遊びをして、楽しんでおりました・・・」
「ご、ごっこ????」
「ええ、タカヅカごっこにございます・・・」
「そ、そ、そうなんだ・・・・」
「はい・・・あれは高校生になった時のことでした、私、数少ない仲間とごっこしておりましたら。突然、同じのクラスの殿方に・・・『おまえら頭大丈夫か?』と言われましたの」
「え?」
「殿方だけではございません、ご婦人方にも『あたまおかしいの?』『馬鹿なの?』と、ののしられまして・・・」
「・・・そ、それは・・・」
「その次の日のことです、仲間だと思っていた方々が、急に掌を返したように、ヅカの話しもしなくなり・・・それどころか、私を、まるで居ない存在であるかのように、扱うようになったのです・・・そこからは、もう、まるで地獄のような日々にございました。
クラスのご婦人方に、ことあるごとに『きもい』『うざい』『くず』『ブス』などとののしられ、殿方からも『近寄るな』『馬鹿が移る』『死ね』など等、散々、言われ続けましたの・・・
ひどい時には、バックや靴箱の中に、ゴミとか土とか、残飯とかも入れられておりました・・・」
真帆ちゃんは、意外に淡々と、あの口調のままそんな話しをするけれど・・・・
それって、つまりイジメにあっていたってことで、本人にしてみれば、とても辛い思い出だと思う。
「・・・・・・」
自分の好きなもののせいで、自分の居場所がなくなったなんて・・・
なんて皮肉なんだろう・・・
あたしは、何も言えなくなって、ただ、じーっとうつむき加減の真帆ちゃんを見つめるだけだった。
真帆ちゃんは、淡々と言葉を続ける。
「それで私、学校にいけなくなりまして・・・そのうちに、家族以外の人々の目が怖くなりまして・・・それで、16歳の頃から22歳になった去年の夏まで、引きこもりニートをしておりましたの」
「そっか・・・大変だったね・・・」
「いいのです・・・今は、こうして外界に出ておりますので・・・
ですが、こう、お店以外で人様に見られるのは怖くて仕方ありませんので、このような姿をするのは、このお店の中だけにとどめておりますの」
「うん・・・・」
真帆ちゃんはきっと、自分が何で、お店の中でしか綺麗なカッコをしないのか、それを、あたしに伝えたいんだなって、そう思って、あたしは、こくんって頷いた。
そんなあたしをちらっと見た真帆ちゃんは、どこか嬉しそうに、また、さっきのように華やかに笑う。
その笑顔を見てたら、あたしも、つられてにっこり笑ってしまう、そして、思わずこう言った。
「真帆ちゃん、美人さんで可愛いから・・・きっと、みんな、嫉妬したんだね・・・
大変だったと思う・・・」
「・・・っ」
真帆ちゃんは、驚いたような顔をして、ぱちぱちと睫毛を揺らしながら、じーっとあたしの顔を見つめ返してくる。