BitteR SweeT StrawberrY
ケイは・・・褒めてくれたのかな?
こんなあたしを・・・
まだまだ、どこかでヘたれてしまってる、こんなあたしを・・・
褒めてくれたのかな?

「そ、そうか・・・勇気・・・だったのか・・・」

「勇気だぞ、多分。

優子が、したいことをすればいいよ。無理して人に合わせることもないしな」
ケイはそう言って笑った。
あたしは、その言葉を聞いて、なんだか嬉しくなって、変に安心して、釣られるように思わず笑ってしまう。

「そっか・・・・」

「うん」

小さく頷いたケイを見て、あたしは、大輔にプロポーズされて、答えを出してないって話しをすることにした。
ケイに、変な意識を持ってもらうってことじゃなくて、ほんとに、人生相談のような感じで・・・
ケイがなんていうか、どうしても聞きたくて、あたしは、一度大きく息を吸うと、ケイに向き直る。

「ケイ・・・」

「うん?」

「あたしね・・・実は・・・」

「うん」

「彼氏に・・・プロポーズされたの」

「・・・・うん」

「でもね・・・待ってもらうことにしたの」

「どうして?」

「あたしは、本当にこの人と結婚したいのかな?って思ったから・・・
嫌いじゃないんだよ、彼氏こと。でもね・・・結婚しちゃったら、なんか、もう、ずっと、何にも・・・目標とか、そういうの見つけられなくなる気がして」

「うん」

「それで・・・目標見つけるまで、待っててって、言ったの」

「そうか」

「彼は、待ってるって言ってくれたんだけど・・・
なんか、彼氏の中では、もう、あたしがお嫁さんになるの確定してるみたいなんだ・・・」

「ん?どういうことだ?」

「んと・・・それって、YESかNOか、決まってない段階での『待って』な訳で、あたしは、まだ、彼と結婚するとかしないとか、全然、答えを出してないの。
それなのに、彼の中では、YES確定してるっていうか・・・」

「あぁ・・・」

「うん・・・・それ聞いて、あたし・・
この人、ちゃんとあたしって言う人間をわかって、付き合ってくれてたのかな?って、すごく、疑問になっちゃって。あなたの中のあたしの意思は、一体どこですか?みたいな・・・・」

そう言ったあたしを、ケイはじーっと見つめてから、少しだけ瞳を細める。
そして、軽く前髪をかきあげると、片手にカクテルグラスを持ったままこう言った。

「・・・・優子はさ」

「うん?」

「今まで、自己主張しなさ過ぎたんだよ。だから、男は、『優子は絶対に自分の意思に反することはしない』って、そう思い込んでる」

「う・・・うん」

「目標を探したいっていうのは、優子の自己主張なのに、きっと、それを、都合よく解釈して、マリッジブルーとかそういうのと勘違いしてる感じなんじゃないかな?」

「あぁ・・・なるほど」

「勘違いしてるならさせとけばいい。
優子が本当に目標を見つけて、そこに進もうとした時、一体何を優先させたいかだよ。
自分を、わかってくれるわかってくれない云々より、大事なのはそれだと思う。
優子が・・・一番やりたいことをすればいい。
優子は優子であって、他の誰でもない。ましてや、その彼氏自身でもない。
だから、その彼氏に合わせる必要もない。勘違いさせとけばいい」

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