BitteR SｗeeT StrawberrY

ガツンって、あたしの心に何かがぶつかった。
ケイはいつも、あたしのしたいことをしろって言ってくれる。
合わせる必要もないって・・・
その言葉が、あたしの背中を後押ししてくれてる気がする。
ケイに、そう言ってもらえれば、あたしは・・・
あたしはきっと・・・
平凡は嫌だと思いながら、平凡から抜け出せなかったあたしを、あたし自身で、変えることができる気がする。

あたしは、なんだか、急に涙が出てきて、ぎゅって唇を噛んでしまった。
哀しくて涙が出た訳じゃない、嬉しくて、涙が出てきた。
ケイは、こんなあたしを、肯定してくるんだって、そう思ったら、胸が熱くなって・・・
今まで、両親でさえ、好きなことしなさいって、優子は優子だからって、言ってくれたことなかった。
両親は両親なりに、あたしの将来を考えて、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいって、言ってくれてたんだと思う。
だからあたしは、言うとおりにしなくちゃって、それがあたしにとって一番なんだって、そう思いこんでた・・・・
進学も就職も、あたしの意思というより、むしろ両親の意向で決まってた。
その上結婚は、彼氏の意向とか・・・そんなの嫌だって、そう思いはじめたあたしがいる。

あたしはあたし・・・
あたしの人生だもん、あたし自身で決めたいもん・・・

急に泣き出したあたしを、柔らかな視線で見つめながら、ケイは、すぅって腕を伸ばして抱き寄せてくれた。
あたしは、必死で感情の高ぶりを抑えながら、それでも涙が止まらなくて・・・

「ありがと・・・っ、うん、あたしは・・・あたし・・・だよね？」

「うん」

「うん、あたしはあたしだもんね・・・ありがと・・・ケイ・・・」

嗚咽で震えてる唇で、あたしは、ケイに精一杯のお礼を言った。
ケイはそんなあたしが泣き止むまで、ずっと、肩を抱いていてくれた・・・

嬉しかった。
すごく安心できた。
でもその時、あたしは、ついに確信してしまった。

あたしは・・・
この人が・・・
ケイのことが・・・
誤魔化しようもないぐらい、ものすごく好きなんだって・・・