BitteR SweeT StrawberrY
あたしは、ひたすらぽかーんとしたまま、いたずらっぽく笑っているケイを見つめてしまう。

「うん・・・近いうちに行くよ。うん、わかった、じゃ・・・」

そう言って、ケイは携帯を切った。
訳がわからずぽかーんとしてるあたしを、ケイは、濡れた前髪の下からまっすぐに見つめて、携帯を、無造作にカーペットの上へと投げた。
あたしは、思わずこう言った。

「ご、ごめんっ、盗み聞きしてたわけじゃ・・・ないんだよっ」

ケイは、可笑しそうにあははって笑うと、弱冠アタフタしているあたしの髪をくしゃくしゃって撫でる。
顔を真っ赤にしたあたしは、なんて言ったらいいか判らなくなって、思わず黙ってしまった。

「別にいいよ。聞かれてまずいことなんか、何も話してないし」

「なんていうか、入ったらまずかなぁ?って思って・・・ちょっと、フリーズしてた・・・」

「きっと、そんな変な気を使ったんだなっていうのは、判ってるよ」

「う・・・うん、そ、そっか」

「それより、風呂、入ってきたら?」

「う、うん・・・ありがと。でも、着替え・・・」

「貸してやるよ」

「うん・・・」

顔を赤くしたまま、こくんって頷いたあたしだけど、あたしは、ガウン姿のケイを、足先から頭までじっと見て、あることに気付いてしまった。

ケイは・・・
細い・・・
どう考えても・・・
あたしなんかより・・・
腰・・・
細い・・・


「うぅっ!?やばいよ、ケイ・・・っ
あたし・・・ケイの服、入らないかも・・・っ!
だって、だって・・・ケイの方が、ウエスト細いもん!!!」

なんだか無駄にへこんで、思わずそう叫んだあたし。
そんなあたしを一瞬きょとんとして見つめると、ケイは、ぷって吹きだして、思い切り笑った。

「あはは!何いってんのおまえ!大丈夫だよ!
服屋は服を、個人所有でも山ほど持ってるんだから」

「はぅっ!」

ケイは、おかしくてたまらないって顔をして、くしゃくしゃとあたしの髪を撫で回す。
あたしは、恥ずかしいやら、悔しいやらで、燃えるほど顔を赤くして、でも、思わず拗ねて、じーってケイを睨んでしまった。


< 64 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop