BitteR SweeT StrawberrY
不安で、切なくなって、いつの間にか、あたしの目には涙がたまっている。
そんなあたしの視界の中で、ケイはさして驚いた様子もなく、ただ、どこか寂しそうに、切なそうに、唇だけで小さく微笑しただけだった。
その男の人は、声を低めてそんなケイに聞く。
「やっぱダメかな?」
ケイが、何かを答えようと、口を開きかける。
でも、その視線が、不意に、ドアの影で硬直していたあたしの方を向いた。
ケイは、一瞬、きょとんとした顔をする。
「優子?」
「ぅっ!?」
ケイがあたしの名前を呼んだと同時に、ガクって呼ばれたその男の人も、こっちを振り返る。
「お・・・」
あたしは、一気に二人の視線を浴びることになって、慌てて、こぼれそうになった涙を手で拭くと、思い切り二人に頭を下げた。
「ご、ごめんなさい・・・っ!
あの・・・・入るタイミング・・・逃しちゃって・・・
ほんとに、ごめんなさい!」
「何で謝るの?」
ケイと、そして、その男の人は、まったく同じタイミングで、まったく同じ言葉でそう言った。
顔を上げたあたしは、どう見ても涙目で、今にも泣きそうな顔だったと思う。
そんなあたしの顔を見た、ケイの元恋人だろうその人が、急にぷって吹きだした。
可笑しそうに笑いながら、その人は言う。
「別に謝らなくても!まぁ、そういうこともあるっ」
ケイは、涙目になってるあたしをちらっと見てくすくすと笑うと、あたし隣に足を進めてくる。
未だに泣きそうな顔のあたしの髪に、ふわって手を乗せると、ケイは、言うのだった。
「優子だよ。今、うちで休日の倉庫整理やってくれてる。
変なオーラでてるだろ?」
「っ!?」
変なオーラって!?そんな紹介の仕方どうなの!?
そう思ったあたしは、一瞬、ぽかんとしてくすくすと笑うケイの顔を見てしまう。
それを聞いた、ケイの元彼氏・・・佐野 学(さの まなぶ)さんは、さっきの真剣な会話が嘘だったみたいに、思いっきり大笑いしたのだった。
「あはは!出てる出てる!
なるほど・・・この子が例の・・・苺好きの・・・っ?」
「っええっ!??」
あたしは、なんで佐野さんにこんなこと言われたのかわからなくて、思いっきりきょとんとしてしまった。
その時、ケイが、くすくすと笑いながら佐野さんにこう言った。
「確かに、この間、苺好きの猫がいるって言ったけど・・・
それが優子だって判るあたりが・・・さすがガクだよ」
佐野さんは、なんだか得意気な顔つきになって、涙目のあたしをふっと見ると、唇だけで意味深に笑った。
そして、もう一度ケイを振り返って、佐野さんは言う。
「もう何年、おまえと顔付合わせてると思うよ?」
「まぁね」
ケイはさらっとそう答えて、やけに柔らかな表情であたしを見る。
あたしは、とっても親密な感じのする二人に挟まれて、変にいたたまれない気持ちになって、思わずうつむいてしまった。
胸の奥がモヤモヤする。
これはきっと、ヤキモチなんだ。
でも、それってとっても変な話しで、ケイは女の人なんだから、むしろ、男の人と付き合ってる方が自然なんだと思う。
だけど・・・
あたしは、自分だって女なのに、女であるケイを好きになってしまって。
そんなケイと親密な関係・・・だった、佐野さんに、こうやってヤキモチを妬いてる。
これって、ものすごく不自然だよね・・・・
女の人が男の人と付き合うのなんて、いたって普通のことなのに・・・
元の恋人同士が親密なのは当たり前なのに・・・
頭ではそうわかっていても、あたしの心のざわめきと、もやもやは、全然、治まらなかった。
そんなあたしの視界の中で、ケイはさして驚いた様子もなく、ただ、どこか寂しそうに、切なそうに、唇だけで小さく微笑しただけだった。
その男の人は、声を低めてそんなケイに聞く。
「やっぱダメかな?」
ケイが、何かを答えようと、口を開きかける。
でも、その視線が、不意に、ドアの影で硬直していたあたしの方を向いた。
ケイは、一瞬、きょとんとした顔をする。
「優子?」
「ぅっ!?」
ケイがあたしの名前を呼んだと同時に、ガクって呼ばれたその男の人も、こっちを振り返る。
「お・・・」
あたしは、一気に二人の視線を浴びることになって、慌てて、こぼれそうになった涙を手で拭くと、思い切り二人に頭を下げた。
「ご、ごめんなさい・・・っ!
あの・・・・入るタイミング・・・逃しちゃって・・・
ほんとに、ごめんなさい!」
「何で謝るの?」
ケイと、そして、その男の人は、まったく同じタイミングで、まったく同じ言葉でそう言った。
顔を上げたあたしは、どう見ても涙目で、今にも泣きそうな顔だったと思う。
そんなあたしの顔を見た、ケイの元恋人だろうその人が、急にぷって吹きだした。
可笑しそうに笑いながら、その人は言う。
「別に謝らなくても!まぁ、そういうこともあるっ」
ケイは、涙目になってるあたしをちらっと見てくすくすと笑うと、あたし隣に足を進めてくる。
未だに泣きそうな顔のあたしの髪に、ふわって手を乗せると、ケイは、言うのだった。
「優子だよ。今、うちで休日の倉庫整理やってくれてる。
変なオーラでてるだろ?」
「っ!?」
変なオーラって!?そんな紹介の仕方どうなの!?
そう思ったあたしは、一瞬、ぽかんとしてくすくすと笑うケイの顔を見てしまう。
それを聞いた、ケイの元彼氏・・・佐野 学(さの まなぶ)さんは、さっきの真剣な会話が嘘だったみたいに、思いっきり大笑いしたのだった。
「あはは!出てる出てる!
なるほど・・・この子が例の・・・苺好きの・・・っ?」
「っええっ!??」
あたしは、なんで佐野さんにこんなこと言われたのかわからなくて、思いっきりきょとんとしてしまった。
その時、ケイが、くすくすと笑いながら佐野さんにこう言った。
「確かに、この間、苺好きの猫がいるって言ったけど・・・
それが優子だって判るあたりが・・・さすがガクだよ」
佐野さんは、なんだか得意気な顔つきになって、涙目のあたしをふっと見ると、唇だけで意味深に笑った。
そして、もう一度ケイを振り返って、佐野さんは言う。
「もう何年、おまえと顔付合わせてると思うよ?」
「まぁね」
ケイはさらっとそう答えて、やけに柔らかな表情であたしを見る。
あたしは、とっても親密な感じのする二人に挟まれて、変にいたたまれない気持ちになって、思わずうつむいてしまった。
胸の奥がモヤモヤする。
これはきっと、ヤキモチなんだ。
でも、それってとっても変な話しで、ケイは女の人なんだから、むしろ、男の人と付き合ってる方が自然なんだと思う。
だけど・・・
あたしは、自分だって女なのに、女であるケイを好きになってしまって。
そんなケイと親密な関係・・・だった、佐野さんに、こうやってヤキモチを妬いてる。
これって、ものすごく不自然だよね・・・・
女の人が男の人と付き合うのなんて、いたって普通のことなのに・・・
元の恋人同士が親密なのは当たり前なのに・・・
頭ではそうわかっていても、あたしの心のざわめきと、もやもやは、全然、治まらなかった。