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タイムカードを押したあたしは、ストックヤードの中で伝票を手に持り、例によって例の如く、ダンボール検索を開始した。
この間よりも早くダンボールを発見できるようになったし、仕事の効率は前より良くなったような気がする。
伝票に書いてある品物と、ダンボールの中身を確認して、検品済の棚にダンボールを置く。

単純なんだけど、結構大変な作業。
だけど、色んなお洋服を見れるのは、ほんとに楽しい。
思わず買いたくなっちゃうようなお洋服も沢山ある。
最近はずっと泣きっぱなしだったから、まさか、こうやって、また楽しくバイトできるとは思ってなかった。
今、こうやってここに居ることが、嬉しいって感じるあたしがいる。
伝票を手に品物をチェックして、また箱に戻して棚にあげる。
新しく開けた箱の中身を出して、チェックする。
その時、あたしはふと気付いた。

「あれ??」

伝票を確認して、箱の中身を確認して・・・二回確認したけど、洋服が、一着足りない。 
同じ形のワンピースで、チェリーレッドが二枚、コーラルブルーが二枚、バイオレッドで三枚入ってるはずなのに、伝票にバイオレッドと書かれた色が、三枚とも入ってない。

「・・・うーん」

あたしは伝票を片手にストックヤードを出て、フロアにいる新城さんに声をかける。

「新城さーん!お洋服の数、なんだか伝票と違いますよ~」

「え?」

フロアで作業をしていた新城さんが、怪訝そうな顔つきをしてあたしに振り返る。
あたしは、伝票を見せながら、新城さんい言った。

「えと、これこれ。このバイオレッドっていう色が足りないみたいです」

「おふ・・・・それ、この時期よく出る色なんだよなぁ・・・」

「そうなんですか?」

「うん、春っぽいじゃん?菫色って」

「ああ、確かに!」

「これ、三枚ともなかった?」

「なかったですね」

「ちょっと俺も確認していい?」

「いいですよ」

あたしは、新城さんと一緒にストックヤードに戻って、今度は二人でダンボールを確認する。
だけど、やっぱり入ってない。

「他の箱に入ってんのかな」

新城さんはそう呟いて、同じ問屋さんの箱を探して開けてみる。
チェックしながら二人で確認したけど、やっぱり入ってない。

「うーん・・・・これは、梱包ミスだな」

新城さんは渋い顔つきをしてそう言った。

「ですね」

「ちょっと業者に電話かけてくるわ」

「はい」
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