BitteR SweeT StrawberrY
業者さんに電話をかけに行った新城さんが、ストックヤードに戻ってきたのは、ほんの5分もしないうちだった。

「業者、休みだよ・・・・」

新城さんはそう言って、ため息をつく。

「ああ・・・・今日、土曜日・・・ですもんね」
あたしがそう答えると、新城さんは伝票を見ながら、なんだか渋い顔つきをする。

「これ、今朝届いた荷物だな。しかもバイオレッドだけ三枚って・・・
もしかすると、取り寄せ品入ってるかも・・・」

「え?」

「ああ・・・・ちょっと、取り寄せ品リスト見てくる」

「あ、はい!」

慌しくストックヤードを出て行く新城さんを見送って、とりあえず、あたしは、仕事をこなしてしまおうと、また、新しい伝票をめくって検品を再開することにした。
10分ぐらい経った時、突然、ストックヤードのドアが開き、ひょこっと顔を覗かせた新城さんが、あたしにこう言った。

「優さん、ごめん、横浜まで行ってきてくれるかな?」

「えっ??」

あたしは、きょとんとして新城さんに振り返る。
新城さんは、困ったように笑いながら、言葉を続けた。

「やっぱ取り寄せ品だったみたいで、リストに至急って書いてあってさ。
しかも受け取り今日とか、マジで参った・・・
で、ケイさんに電話したら、なんか、佐野さんに連絡とってくれたみたいで、佐野さんとこに同じ品物あったらしく・・・そんな訳でごめんっ!ちょっと行ってきて!」

「佐野さんの・・・お店、ですか?」

あたしは、ちょっと微妙な気分になったけど、別に、佐野さんに恨みがある訳でもないし、むしろあたしが彼のお店にいかないと、このお店のお客さんに迷惑がかかる訳だし・・・
意を決したあたしは、新城さんにこう言った。

「あ、わ、わかりました。じゃ、行ってきます」

「おお!助かる~ありがと!タイムカード切らなくていいから!」

「はい、了解です」

申し訳なさそうな顔をする新城さんに、あたしは笑って見せると、急いで事務所に戻ってバックを取り、そのまま、横浜に行くことになった。
ケイの元の恋人だった、佐野 学さんのお店に・・・


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