BitteR SweeT StrawberrY
あたしは、色んな意味で、ケイってすごいかもって思ったけど、でも、佐野さんになんて言ったらいいかわからなくて、ただ、ぽかーんとしてしまった。
佐野さんは、笑いながら言葉を続ける。

「まぁ、とにかくケイは、この俺ですらびびるほど、とんでもないことを平気でやってのける女な訳だ」

「佐野さん・・・その時、ケイのこと怒らなかったんですか????」

それは、とっても素朴な疑問だった。
だからあえて聞いてみた・・・・
すると佐野さんは、飄々とした顔でこんなことを言う。

「怒るも何も・・・とりあえず、やり方がどうあれ、人一人の命を救った訳だ、浮気とか浮気じゃないとか、なんかそんなこと言うのもちっせーし・・・
おまえ、すげーな、自殺願望消去したよって褒めてやった」

「え?!」

ケイも大物なら、佐野さんも大物だ・・・
普通に考えたら、そこで、別れ話とかになりそうな気がするけど・・・・
そういえば、前、新城さんが言ってたっけ、佐野さんはスケールの大きな人だって・・・
そんな衝撃的な場面に遭遇して、佐野さんがそう言えたのは、やっぱり、スケールの問題なんだなって、あたしは、変に感心してしまう。

それに比べたら・・・
あたし・・・
どれだけ小さいんだろう・・・
ちょっとしたことで、不安になって泣いてみたり・・・
ほんとに小さいし、子供だなって思う・・・

そんなことを考えて、少しヘコんだあたしに、気付いているのか気付いてないのか、佐野さんは、気取った様子もなく、相変わらず飄々とした顔つきをしていた。

「まぁ、あいつはそういう奴だから、基本、男とか女とか、そんなの気にしないタイプだし。
惚れると大変だぞ?あいつは」

ちょっと悪戯っぽくそう言うと、佐野さんは、きょとんとしているあたしの顔をまじまじと見る。
あたしは、なんだか困ってしまって、思わずうつむいた。

「た・・・大変・・・そうですよね・・・」

「なぁ、優子?」

「え?」

呼び捨てですか!?って言う言葉はしまって、あたしは、ちらっとあたしを呼んだ佐野さんを見る。
佐野さんは、何故か、すごく切なそうに笑って、真面目な声でこう言った。

「あいつに何かあったら、連絡もらっていいか?」

「え?な、何かって?何ですか?」

「ん?・・・・ああ、もしかして・・・・」

「え??」

「何にも聞いてないのか・・・」

「な、何をですか?」

「聞いてないならいいよ・・・まぁ、とりあえず、連絡先教えておくから。
何かあったら、連絡してくれ」

やけに真剣な眼差しで、佐野さんがあたしを見つめるから、あたしは、頷くしかなくて、とりあえず、携帯番号とメールアドレスを、佐野さんと交換する。
あたしは、佐野さんが何でこんなことを言ったのかわからないまま、ケイのお店に戻ることになった。


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