BitteR SweeT StrawberrY
「あっ!!こんな時間・・・・っ、お、お風呂入ってないよ~!帰らないと!」
お酒のせいで少し潤んだ眼で、ケイは、そんなあたしをゆっくりと見上げる。
「ああ・・・そうだな~・・・・・12時過ぎてるな・・・」
「うん」
「そろそろ解放してやらないとな」
くわえ煙草の煙の向こう、ケイは、長くて白い指で、自分の前髪をかきあげながら、そう言って笑った。
お酒のせいなのか、久しぶりに楽しい思いをしたせいなのか、その笑顔を見て、一瞬、すごく・・・寂しくなったあたしがいる。
なんだか変な気分になった自分を隠すように、あたしは、そそくさと席を立って、玄関に向かって歩いた。
ケイは、そんなあたしの後ろから、見送りにきてくれた。
ミュールをはきながら、あたしは、ちょっとだけ上の方にある、ケイの綺麗な顔を見る。
「ああ・・・もう、ほんとに、すいませんでした・・・図々しくあがりこんじゃって。
助かりました・・・です・・・・ありがとうでした」
「いいよ別に」と言ってから、ケイはふと、カーゴパンツのポケットから、ブランド物らしい名刺いれを出して、そこから、一枚、名刺を取り出す。
それをあたしに差出しながら、ケイは言葉を続ける。
「暇なときに店おいで。オレ、これでも一応、洋服屋の店長さんだから、多少は値引きしてやんよ」
「え?洋服屋さん・・・・???」
あたしはきょとんとして、受け取った名刺をまじまじと見つめてしまう。
そこには、都内に何店舗かある、ファッション雑誌でも時々見かける、ちょっと有名なお店の名前と
『田所 恵(めぐみ) 』と言う、ケイの本名が書かれていた・・・・
「あぁ・・・・っ!こ、このお店って・・・・結構有名なお店ですよね!?なんか、前雑誌で見た・・・っ!」
面食らったあたしは思い切り声を上げて、なんだか子供っぽく笑っているケイと、名刺を交互にガン見した。
お水の人かと思ったのに、洋服屋さんの店長だったなんて、驚くに決まってる!
まぁ、あたしが勝手に、お水の人だと思ってだけだけど・・・
ケイは、あたしの驚嘆には何も答えないで、子供っぽく笑ったままだった。
「また、うちに遊びにきてもいいよ。暇なときは暇だから。
そこに書いてあるメールのアドレス、仕事用だけど、それにメールくれてもいいし。
まぁ、気が向いたらいつでもおいで」
「あ・・・・っ、は、はい・・・・っ!」
すっかり恐縮したあたしは、思い切りケイに頭を下げる。
「お邪魔しました!失礼します・・・っ」
「なんでいきなり堅苦しくなってんの??」
「え・・・っ、だ、だって・・・!なんていうか・・・もう、あたしとは世界が違うというか・・・・
店長さんとか・・・そんな有名なお店で・・・すごすぎるって・・・思って」
「関係ないだろ?そんなこと?」
「は、はぁ・・・」
「だってさ・・・仕事がなんだろうと、役職がなんだろうと、男だろうと女だろうと・・・
オレがオレであることには変わりないし」
ケイはそう言って笑った。
お酒のせいで少し潤んだ眼で、ケイは、そんなあたしをゆっくりと見上げる。
「ああ・・・そうだな~・・・・・12時過ぎてるな・・・」
「うん」
「そろそろ解放してやらないとな」
くわえ煙草の煙の向こう、ケイは、長くて白い指で、自分の前髪をかきあげながら、そう言って笑った。
お酒のせいなのか、久しぶりに楽しい思いをしたせいなのか、その笑顔を見て、一瞬、すごく・・・寂しくなったあたしがいる。
なんだか変な気分になった自分を隠すように、あたしは、そそくさと席を立って、玄関に向かって歩いた。
ケイは、そんなあたしの後ろから、見送りにきてくれた。
ミュールをはきながら、あたしは、ちょっとだけ上の方にある、ケイの綺麗な顔を見る。
「ああ・・・もう、ほんとに、すいませんでした・・・図々しくあがりこんじゃって。
助かりました・・・です・・・・ありがとうでした」
「いいよ別に」と言ってから、ケイはふと、カーゴパンツのポケットから、ブランド物らしい名刺いれを出して、そこから、一枚、名刺を取り出す。
それをあたしに差出しながら、ケイは言葉を続ける。
「暇なときに店おいで。オレ、これでも一応、洋服屋の店長さんだから、多少は値引きしてやんよ」
「え?洋服屋さん・・・・???」
あたしはきょとんとして、受け取った名刺をまじまじと見つめてしまう。
そこには、都内に何店舗かある、ファッション雑誌でも時々見かける、ちょっと有名なお店の名前と
『田所 恵(めぐみ) 』と言う、ケイの本名が書かれていた・・・・
「あぁ・・・・っ!こ、このお店って・・・・結構有名なお店ですよね!?なんか、前雑誌で見た・・・っ!」
面食らったあたしは思い切り声を上げて、なんだか子供っぽく笑っているケイと、名刺を交互にガン見した。
お水の人かと思ったのに、洋服屋さんの店長だったなんて、驚くに決まってる!
まぁ、あたしが勝手に、お水の人だと思ってだけだけど・・・
ケイは、あたしの驚嘆には何も答えないで、子供っぽく笑ったままだった。
「また、うちに遊びにきてもいいよ。暇なときは暇だから。
そこに書いてあるメールのアドレス、仕事用だけど、それにメールくれてもいいし。
まぁ、気が向いたらいつでもおいで」
「あ・・・・っ、は、はい・・・・っ!」
すっかり恐縮したあたしは、思い切りケイに頭を下げる。
「お邪魔しました!失礼します・・・っ」
「なんでいきなり堅苦しくなってんの??」
「え・・・っ、だ、だって・・・!なんていうか・・・もう、あたしとは世界が違うというか・・・・
店長さんとか・・・そんな有名なお店で・・・すごすぎるって・・・思って」
「関係ないだろ?そんなこと?」
「は、はぁ・・・」
「だってさ・・・仕事がなんだろうと、役職がなんだろうと、男だろうと女だろうと・・・
オレがオレであることには変わりないし」
ケイはそう言って笑った。