BitteR SweeT StrawberrY
また、こうやって、ケイと話ができるってことが、嬉しくて、嬉しくて、なんだかまたふわふわした気分になってしまった。

「ああ・・・そうだ、お礼遅れちゃったけど・・・
この間、苺・・・ありがとう・・・嬉しかった」

「まぁ、きっと吹きたくなるから、なんでいきなり泣き出して逃げたかは、聞かないでおくよ」

ケイはイタズラっぽく笑って、すぅってあたしの髪束を指先で摘むと、猫じゃらしでも使うみたいに、それであたしのほっぺの辺りをくすぐった。
あたしは首をすくめながら、顔を赤くして、上目使いにケイを見る。

「やっ!ちょっと、やめてよっ・・・!
もぉ!吹くって・・・なに?あたしは真面目に・・・っ!」

「真面目に、なに?」

「真面目に・・・・」

「真面目に?」

「うっ・・・・」

真面目にヤキモチ妬きましとか、そんなこと言えるはずなんかない!
あたしは、顔を赤くしままうつむいて黙ってしまう。
ケイは、そんなあたしを可笑しそうに笑って見つめながら、こう言った。

「判りやすいやつだよな、おまえ!」

「うぅっ・・・!わ、判ってるなら!」

「ん?」

「聞かないで・・・・っ」

ケイはますます可笑しそうに笑って、照れまくってうつむいたあたしに、意地悪な視線を向けてくる。
あたしは、なんだか、見透かされるのが悔しくて、不満ですっていう視線で、じーっとそんなケイを見つめてしまう。

「ケイは・・・・っ」

「うん?」

「ケイは・・・・あたしを・・・」

「うん」

「どう・・・思って・・・」

そこまで言いかけて、あたしは、ハッと言葉を止めた。
馬鹿だあたし!
なんでこんなとこで、こんなこと聞いてんの!?
ケイは、一人でどぎまぎしてるあたしの顔を見つめながら、ふと、柔らかく笑って、躊躇いもしないで、こう言った。

「好きだよ」

「っ!!!!???」

あたしは、思わず、目を大きく開いて、言葉も出せないまま、金魚みたいにぱくぱくと口を動かしてしまう。
そんな、はっきり、まっすぐにそう言われたら、あたしは・・・
一体なんて・・・
なんて言えばいいの・・・!?

「え、えと・・・その・・・うんと・・・んー・・・」

思い切り挙動不審になったあたしは、きょろきょろと視線を泳がせて、ばくばくする心臓をどうにかしようと必死になって抑えようとした。
ケイは、そんなあたしを愉快そうな視線で見つめながら、頬杖のままコーヒーに口をつける。

「自分で聞いておいて、おまえ、相当失礼な反応だな?それ?」

「え?だ、だって・・・・っ!!だって・・・だって・・・それ・・・んー」

「嫌いな奴には触らないし、どうでもいい奴のことなんか、何を勘違いされても放っておく。
オレはそういう人だよ」

「は、はい・・・っ!」

「なんでそこで返事?」

「ううっ・・・その・・・えと・・・うんと・・・
いや・・・そう言ってもらえるとは、思ってなくて・・・
びっくり・・・・して・・・あたし、あたし・・・」

「相変わらず、変なやつだな」

ケイは、そう言って笑った。
恥ずかしかった、ほんとに照れた、だけど、あたしはなんだか嬉しくて、ちょっとだけ、涙が出てしまいそうだったから、必死で、笑顔を作ってみせた。



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