犬との童話な毎日
未開
濃い紅色の花が、垂れた枝先で揺れる。
ゆらゆらゆらゆら。
ゆらゆらゆらゆら。
あまり高くはないその木の下で。
あたしは横たわっていた。
ゆらゆらゆらゆら。
ゆらゆらゆらゆら。
匂い立つ様な、夢の中の様に揺れる花の下で。
あたしのお腹を。
肩を。
腕を。
足を。
顔を。
犬が食べていた。
むしゃむしゃむしゃむしゃ。
森の中に、時折遠吠えを響かせながら。
慰めるかの様にまた、紅色の花が揺れた。