犬との童話な毎日
「あ、あの……」
黒曜を一睨みしてから、声の主を振り返る。
横で一つに結わいたさらさらの髪に、白い肌。
お嫁さんが困惑した表情でいつの間にかベッドに座っていた。
「あ、あぁ、ごめんなさいね。
何だか余計なお世話だとは思ったんだけど我慢出来なかったわ」
「い、いえっ、あたしのために、本当にすみません」
慌てて首を振りながら、入院着のパジャマの袖をいじる。
「ねぇ、あなたお姑さんに虐められてるのかしら?」
「……そんな事は……無い、です……」
下を向いて袖口をいじいじ、いじいじ、いじいじ。
「でもさっきのは明らかに嫌味よねぇ、それとも本当にあれがあの人の素なのかしら」