犬との童話な毎日

首を傾げながら、何故かお嫁さんのベッドの横、先程までおばさんが座っていた見舞い客用の椅子に腰を下ろす。

「でもあんな言い方されたらストレス溜まるわよねぇ」
「い、いえ……そんな事は……」

いじいじいじいじ。
お母さんの顔を見るでも無く、下を向いて袖口を指先で捏ね捏ね。

あー……こりゃ確かに虐められるタイプだわ。
こんなにおどおどしていたら突っつきたくなる人も多いと思う。

黒曜、赤ちゃんは?

黒い毛玉を振り返るとあたしの言いたい事が伝わったのか偶然か。

『声が小さいな……弱まっている』

今、お腹の中でどれ位の大きさなんだろう。
苦しいのかな?
悲しいのかな?

『還りたがっている』

何で?


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