犬との童話な毎日
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夜の窓辺。
いつもの黒曜の居場所を先取りして、外を眺める。
「ねぇ、夜桜見に行かない?」
星の見えない曇り空に飽きちゃった。
黒曜はここに来て日も浅いから、ずっと眺めていられるかもしれないけど、あたしはこの窓からの眺めなんて、正直見飽きてる。
『不良娘め、こんな夜更けに外出なんて母親が許す訳が無いだろう』
意外とお堅いヤツ。
横目で時計を確認すると10時だった。
うん、イケる。
そうと決まれば即行動で、あたしは階段を降りてトイレに行きながらお母さんにおやすみなさいを言った。
お前みたいな貧弱な小娘でも一応女だ、夜歩きは危ない。
と失礼な事を言う黒曜を連れて、窓から木の枝、そして物置を伝って夜の道へと降りた。
中学に入るまでは昼間良くこうして遊んでたんだけど、ある日お父さんに見つかってものすご〜く怒られてやめた。
大きくなるってつまらない、と思う。