犬との童話な毎日
立ち直った高城が再びフォークをあたしに向ける。
しかもぶらぶらさせながらだから、非常にうっとおしい。
「それは無い!絶対無い!」
「痛てっ!アホッ、行儀悪りぃなお前はっ!小学生ん時に、箸で人のとこ刺しちゃいけねぇんだぞ、って教えて貰わなかったんか!」
今度はお箸で高城の腕を刺してやった。
……いつ頃からなのか、なんて覚えていない。
春になると、いつもこの夢を見ていた。
小学校上がる前から、犬を見れば泣いていたらしいから随分幼い頃からなんだろう。
いつも犬に食べられる。
揺れる桜のしたで。
いつも同じ風景で。
だから、あたしは犬が嫌いだ。