犬との童話な毎日
そう思うあたしはやっぱり、黒曜が小娘と呼ぶように、まだまだお子ちゃまなんだろう。
『無鉄砲だな、小娘はまだまだ世の中の怖さを知らない』
髪を結わいて帽子に突っ込んで、出来る限り男の子に見えるコーデでまとめたあたしの後ろを黒曜が歩く。
「あんたが居るから怖くないんだよ。
一人だったら夜道なんて歩かないもん」
あたし達の脇を車が通る。
ヘッドライトがあたし一人分の影をアスファルトに映しだした。
「あたしにしか見えない化け犬だけど、いざとなったら怨念で守ってくれるでしょ?」
『怨念……色々と間違っているぞお前』
つまらなそうに黒曜がふん、と鼻を鳴らす。