犬との童話な毎日
黒曜は、あたしの事に興味は無いだろう。
あたしの気持ちにも。
だからこれは独白。
「……でも、会えなかった」
灯りにぼんやり浮かび上がる夜桜を見上げたまま、ぽつん、と言葉を落とす。
黒曜もこの夜桜を見上げているのかな。
それとも興味無さそうに寝そべってる?
「きっと……あたしのせい」
弟が産まれたら、泣いてる時は歌ってあげようと思ってた。
洋服も着せてあげて、手を繋いで一緒に眠ったりしてみたかった。
犬や猫を見たらわんわんだよ、にゃあにゃあだよ、って教えてあげたかった。
友達に、可愛いでしょあたしの弟なんだ、って自慢したかった。
「病院で、お母さんが言ってたの。
先生の言う通りに入院しておけば良かった、って」