犬との童話な毎日
黒曜のアクションは特に無くて、そこに居るのかすら良く分からなかった。
でもそれでも良かった。
別に同情してもらいたいとか、慰めてもらいたい訳じゃ無かったから。
「……居なくなっちゃえば、もう会えないのにね。
あのお姉さん、分かってるのかな」
お父さんがどんなに泣いても、お母さんがどんなに泣いても。
どんなにあたしが自分を責めても、あたしの弟は消えてしまった。
『……人間は一人一人、歩く先が違う。
選択が違うのも当たり前だ。
仕方ないさ』
少し考えてうん、と小さく頷いて。
「そうだね」
とあたしは呟いた。