犬との童話な毎日
5分咲き

***

あ、これ夢だ。
そんな風に気付く時がたまーにある。
夢の中ですら有り得ない、って冷静に考える。

だって目の前に。

『六花、聞いてるのか?』

ふさふさの尻尾を揺らして。

『……六花』

ピンと立てた耳に。

『お前……』

ピンクのキラキラスパンコールが光るリボンを付けて。

『それって誘ってんのか?』

毛の無い首にもお揃いのキラキラリボンを付けた。

『来いよ六花』

健康的な肌色の手足をあたしへと伸ばした。

『俺様が抱っこしてやるから』

イケメンな男の人が黒曜の声でふざけた事を抜かしていたから。

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