犬との童話な毎日
数メートル先を歩く、ブロック塀と生け垣に左右を挟まれた黒曜の背中をじとー、とした目で見つめる。
世の中には制服姿の女子高生と一緒に歩くだけでも喜ぶおじさま達が居るらしいのに。
あたしのことをむしろ引き連れて歩こうというのね。
調子に乗りやがってこいつ……。
「ホントにキラキラリボンでも付けてやろうか化け犬」
『……小娘知ってるか?犬は耳が良いって』
「調子に乗りすぎました、すいません」
すかさず謝るが吉。
朝の気持ち良い空気のついでに、すっきりと爽やかに行こうじゃないか。
『調子の良い奴だ』
呆れ声の黒曜の後をいそいそと歩く、いつも通りの一日の始まり。