犬との童話な毎日
お弁当の包みを開いて、蓋に手をかけながら冷める前に、ともう一口飲む。
「ねぇ、六花はどう思う?」
「んん、んあー、そうだねぇ。
お汁粉も美味しいんだけど、あれはやっぱ冬限定なんだよねぇ」
「はあぁ?」
「いっただきまーーす」
両手をぱちん、と合わせて頭を下げる。
いただきます、って作ってくれてるお母さんへの当たり前の礼儀だよね。
「お前飲んでんのって、それココアじゃね?お汁粉じゃねぇよなぁ?」
「……高城、目悪いの?それとも頭が悪いの?」
「おまっ……」
「六花ぁ、ココア一口ちょうだい」
悠がいつもの甘い声であたしの名前を呼ぶ。
少し低いけれど、女の子の声って言われても納得の可愛いらしさ。
「おっ、お前が突然訳分からんこと言い出したからだろぉぉっ!」