犬との童話な毎日

***

ゆらゆら、揺れているのはあたし?
それとも風かな……。

『小娘。……おい』

……何よ、呼ばないで。
あたし、眠いの。

『じゅぎょう、は良いのか?』

だって。
目、開かないのよ。

『子娘、起きろ』

子守歌みたい。
気持ち良い。

『……立花』

……ねぇ、空耳?
この声はきっと後ろの席から?

そうだよね、黒曜。


気持ちの良い、午後の空気と。
ペンの走る音と、先生の声と。
暖かい日の差す教室で。

ゆらゆら揺れる、あたしの意識。



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