犬との童話な毎日

今や反射的に、いそいそとテレビを点けてしまうのも、何だか下僕になったようで少し悔しい。

でも言われてからやるのも腹が立つんだよね。
やらされてる感があって。

「へー、やっぱりあたしみたいに繊細で心が綺麗で、感受性豊かな人が見えるの?」

『……小娘、厚顔無恥と言う言葉を知っているか?』

「ちょっと冗談言っただけじゃん」

あたしに冷たい流し目をくれながら、リモコンを前脚でちょい、と押す。

時たま人間臭い動作をする化け犬を、近頃見慣れて来た自分が少し悲しい……。

『……相性の問題なのか、潜在能力による物なのか分からないが、今まで何人かは見えた様だ』

ラグマットの上に黒曜が寝そべる。

「……あたしとあんたが相性良い訳は無いし、潜在能力って言っても霊感ある訳でも無いんだけどなー」

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