犬との童話な毎日
『口が悪いな、小娘』
表情を変えたあたしに、黒曜は興味も無さそうな声音。
それがまた苛々を増幅させて行く。
「布団の上にっ!乗るなと!何度言えば分かるんだ、この化け犬がー‼︎」
だから、あたしのせいじゃない。
早朝にあたしの大声が八坂家に響いたのも。
そのせいで家族が飛び起きたのも。
あたしのせいじゃない、はず、なんだけど……。
睡眠を邪魔されるのが嫌いなお母さんによって、作られたその日のお弁当は、白ご飯にお茶漬けの素だけでした。
ママン、うちの高校にポットは無いんだよ……。