犬との童話な毎日

『口が悪いな、小娘』

表情を変えたあたしに、黒曜は興味も無さそうな声音。
それがまた苛々を増幅させて行く。

「布団の上にっ!乗るなと!何度言えば分かるんだ、この化け犬がー‼︎」

だから、あたしのせいじゃない。
早朝にあたしの大声が八坂家に響いたのも。
そのせいで家族が飛び起きたのも。
あたしのせいじゃない、はず、なんだけど……。

睡眠を邪魔されるのが嫌いなお母さんによって、作られたその日のお弁当は、白ご飯にお茶漬けの素だけでした。

ママン、うちの高校にポットは無いんだよ……。






< 149 / 311 >

この作品をシェア

pagetop