犬との童話な毎日
そんな声と共に、頬に何かが刺さった。
結構な力で。
何が起きたのか分からなくて、目をぱちくりしてしまう。
机に直に突っ伏していたあたしの口は、むに、とアヒル口になっているはず。
「ぶは、おま、何その顔!超ウケるし!しかもよだれ垂れてんじゃん、きったねーな」
「……たーーかーーしーーろーー!」
爆笑しながら尻ポケットから、スマホを出そうとしている男の肩をグーパンチ。
何撮るつもり、なんて聞かなくても想像出来る。
何たって小学生低学年レベルの高城だから。
撮られる前に、とよだれのついた口元を制服の袖で拭いながら怒っていると、悠がウエットティッシュであたしの口元を拭き直してくれた。
……いや、あんたそのウエットティッシュ、さっき机も拭いてなかったっけ?