犬との童話な毎日
「六花、また寝不足?またあの夢でも見たの?」
こてん、と首を傾げてあたしの顔を覗き込んだのは悠。
「授業でも良く居眠りしてたし、今もなかなか起きれなかったし」
寝起きのぼーっとした頭で、悠があたしの席に手を突くのを見る。
ちなみに本日の髪型は、一つに纏めた編み込み。
右耳の辺で、ゴールドの星のヘアゴムを使って縛っている。
……可愛い。
けど悔しいから言わない。
「また犬の夢?」
つまらなそうに高城が、スマホを机の上にことん、と置く。
「んーー……」
「おいおい、寝てんじゃねーよ」
「……寝てないっつーの」
目が細いんだよ、とぶつぶつ聞き捨てならない言葉が聞こえた気がしたけれど、聞こえないふり。