犬との童話な毎日
「ああ、あれランチじゃなくてディナーだと思う。いつも周り薄暗いし」
まあ、それはどうでもいいんだけど。
机にぺたん、と片方の頬を付けると黒曜が見えなくなった。
「……匂いのする夢、見たの初めて」
「うーん、確かに言われてみれば匂い付きの夢って、見たことないかも」
えー俺はどうかなぁ、と高城が興味無さそうにしながら、小学生のように椅子を揺らす。
「それよりも俺、腹減ったんだけど。早弁すっかなー」
時計を見ながら、ばたばたと自席からお弁当箱を持って来る高城。
他人の机で早弁すんのやめなよー、と悠が嗜めるのを、ぼんやりと窓の外の空を見ながら聞いていた。
休み時間、終了五分前のこと。