犬との童話な毎日
滅多に見ない、気を抜いている熟睡姿。
何か悪戯でもしてやりたいところだけど。
「そうだね。たまには外出る食べるのも気持ち良さそう」
水筒とお弁当を持って、席を立つ。
教室を出る時に、ちらり、と教卓を振り返ると未だ眠りの中の黒曜。
ああしていれば、とても化け犬には見えない。
喋らない、壁をすり抜けもしない、普通の犬みたいだ。
「……どした?八坂」
「んーん、早く行こ」
3時限目からずっと眠ってる。
いつもああして大人しければ良いのに。
悠の持って来てくれたレジャーシートは、あたし達三人が座っても全然平気な大きさ。