犬との童話な毎日
「いてっ」
べちっ、と衝撃。
「……ボク、一回襲われそうになったし。冬馬くんはやだ」
手のひらをあたしの目の前、至近距離で見せつけて。
にっこりと笑われれば。
「……すみませんでした」
ははーー、とひれ伏すしかない、小心者のあたし。
「えーー、ちょっとチューしようとしただけじゃん。じゃあなんでそんな艶艶の口してんだよ」
「艶プル唇、可愛いでしょ?でも冬馬くんのためじゃないし」
小悪魔、ってこういう子のこと言うんだろうな。
いや、中身は男子なんだけれども。