犬との童話な毎日
でも、すね毛も腕毛も脇毛も、見当たらない。
汗臭くもないし、何なら良い匂いまでするし。
同じクラスの男子と同じ生き物には、とてもとても見えないんだよなー。
「ねぇ、冬馬くん。周りが童貞卒業していって焦る気持ちは分かるけど、六花のことは押し倒さないでよね」
前のめりに高城に詰め寄る悠は、にっこりと可愛らしくて。
何ならその少し空いた制服の胸元から、神聖な谷間まで見えそうな気がしちゃう。
ぽりぽり、と少し固めのアスパラを噛りながら、じーーっと見つめる。
視界に入り込む野花も、悠のバックに咲き誇る背景みたい。
「……いやぁ、あたしでさえチューしたくなるもん。分かるわ高城」