犬との童話な毎日

***

遠くで何か聞こえた気がして目を開けると。
そこは何故か保健室だった。

白いカーテンに囲まれて。
消毒の匂いと、ぱり、とした感触のシーツ。

あたし、何で保健室に?

首を傾げながらも上半身を起こすと、何故かたくさん眠った朝のように、すっきりしていて。

「……あっれぇ?」

「起きたか」

声を出すと、間髪入れずにしゃー、と開くカーテン。

それにもびっくりしたけれど。
それよりも動揺したのは。

「…………えっ、と」

誰?

カーテンを掴んでそこに立っていたのは、見覚えのない男子生徒。
あたしの問い掛けにきょとん、とした表情が返ってくる。
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