犬との童話な毎日
え?何?
そら、みみ?
「……何を惚けているんだ。小娘」
え、だって……。
このおっさん臭い喋りな上に、あたしをそう呼ぶのは。
「え?……こ、……いやいやまさか」
あの茶色い毛玉の化け犬しか……いない、はず。
でも、いやでもでも、だって、と思いながらも名を口にしかければ。
「…………」
その刹那、にやり、と目の前の端整な顔が笑う。
「……っ!」
少し吊り目っぽいアーモンド型の綺麗な目が、細められて。
くらり、とした。