犬との童話な毎日

ひとしきり、机を漁って。
満足したらしい黒曜はあたしのベッドに寝転んで、伸びをした。

「……あの、制服でベッドに寝転ぶのやめて」

あたしは逆に入り口の扉付近に避難。
そんなあたしをちらり、と見てから。
大きな欠伸をした。

こうしていると犬というより、猫みたいだ。
飼い慣らされた犬というより、自由きままな猫。

「……人間の姿は、少々厄介でな。姿を隠したくとも、隠せない。小娘の母が在宅していなくて良かったな」

「…………」

あんたって、見た目は普通に高校生なのに。
喋り方は相変わらずなんだね。
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