犬との童話な毎日
しっし、と左手は振って、右手はスクバで顔半分をガードする。
そしてそのスクバの陰から、威嚇する様に、睨みつける。
「寄るなってばぁ!!
ちょっ……何なの?!」
犬はあたしを黒く光る瞳で見上げながら、あたしの周りをゆっくり歩く。
やだぁ、何なのこれ?!
あたし犬、嫌いなんだってば〜。
「あっち行きなさいってば!
何も食べる物持って無いし。
ホントやめてって言ってるのが分からないの?!
うーーっ、わんわんっ!!」
もうやけくそだった。
犬はあたしの周りを何故かぐるぐる回ってるし、あたしはその犬に背中を見せたく無いから、一緒に回るしかなくて。
少し回っただけで三半規管が若干弱い上、寝不足気味だったあたしは。
くらり、としてしまった。